1.30 平面の方程式と法線ベクトル

定理 1.153 (平面の方程式)   $ \mathbb{R}^n$ 空間内の超平面上の点 $ X$ の位置ベクトルは

$\displaystyle \vec{n}\cdot(\vec{x}-\vec{x}_0)=0\,,\qquad \vec{x},\vec{x}_0,\vec{n}\in\mathbb{R}^{n}$ (190)

と表される. ただし,$ \vec{n}$ は方向ベクトル $ \vec{u}_1$, $ \cdots$, $ \vec{u}_n$ と 直交するベクトルである. $ \vec{n}$法線ベクトル(normal vector)という.

(証明)任意の実数 $ t_1$, $ \cdots$, $ t_n$ に対して

  $\displaystyle \vec{n}\cdot(\vec{x}-\vec{x_0})=0$    
  $\displaystyle \quad\Leftrightarrow\quad \vec{n}\cdot(\vec{x}-\vec{x}_0)= \vec{n...
...s+t_n\vec{u}_n)= t_1\,\vec{n}\cdot\vec{u}_1+\cdots+t_n\,\vec{n}\cdot\vec{u}_n=0$    
  $\displaystyle \quad\Leftrightarrow\quad \vec{n}\cdot\vec{u}_1=0,\quad\cdots,\quad\vec{n}\cdot\vec{u}_n=0$    
  $\displaystyle \quad\Leftrightarrow\quad \vec{n}\perp\vec{u}_1,\quad\cdots,\quad\vec{n}\perp\vec{u}_n$    

が成り立つ.

注意 1.154 ( $ \mathbb{R}^3$ の平面の方程式)   $ \mathbb{R}^3$ 内の平面の方程式は次のように表される. まず,基本は

$\displaystyle ax+by+cz+d=0$ (191)

である. このとき,法線ベクトルは $ \vec{n}=\begin{bmatrix}{a}\\ [-.5ex]{b}\\ [-.5ex]{c}\end{bmatrix}$ である. また,この式を変形して

$\displaystyle a(x-x_0)+b(y-y_0)+c(z-z_0)=0$ (192)

と表す.このとき, 法線ベクトルは $ \vec{n}=\begin{bmatrix}{a}\\ [-.5ex]{b}\\ [-.5ex]{c}\end{bmatrix}$ であり, 平面は点 $ (x_0,y_0,z_0)$ を通る. さらに変形して,

$\displaystyle \frac{x}{a}+\frac{y}{b}+\frac{z}{c}=1$ (193)

とする.このとき平面と $ x$ 軸,$ y$ 軸,$ z$ 軸との 交点はそれぞれ $ x=a$, $ y=b$, $ z=c$ となる.

1.155 ( $ \mathbb{R}^3$ の平面の方程式の具体例)   $ \mathbb{R}^3$ 内の平面の方程式

$\displaystyle x-2y+3z+4=0$ (194)

を考える. 法線ベクトルは $ \vec{n}=\begin{bmatrix}{1}\\ [-.5ex]{-2}\\ [-.5ex]{3}\end{bmatrix}$ である. また,方程式を変形して

$\displaystyle \frac{x}{-4}+ \frac{y}{2}+ \frac{z}{-\frac{4}{3}}=1$ (195)

を得る. 平面は点 $ (-4,0,0)$, $ (0,2,0)$, $ (0,0,-4/3)$ を通る.


平成20年2月2日