1.8 $ \mathbb{R}^2$ における直線の方程式

注意 1.35 ( $ \mathbb{R}^{2}$ の直線の方程式)   直線 $ \vec{x}=\vec{x}_0+t\vec{p}\in\mathbb{R}^2$ を考える. このとき

$\displaystyle \vec{x}= \begin{bmatrix}x \\ y \end{bmatrix}\,,\quad \vec{x}_0= \...
...{0} \\ y_{0} \end{bmatrix}\,,\quad \vec{p}= \begin{bmatrix}a \\ b \end{bmatrix}$ (38)

とおく. $ \mathbb{R}^2$ の直線の方程式

$\displaystyle \frac{x-x_{0}}{a}=\frac{y-y_0}{b}=t$ (39)

と表される. この式は 点 $ Q(x_{0},y_{0})$ を通り 方向ベクトルが $ \vec{p}=\begin{bmatrix}a \\ b \end{bmatrix}$ であることが 分かり易い形である.

式変形をする. $ a'=b$, $ b'=-a$, $ c'=-a'x_{0}-b'y_{0}$ とおく. すると

  $\displaystyle a'(x-x_{0})+b'(y-y_0)=0$ (40)

であり,または

  $\displaystyle a'x+b'y+c'=0$ (41)

となる. この式は $ \vec{n}=
\begin{bmatrix}a' \\ b' \end{bmatrix}=
\begin{bmatrix}b \\ -a \end{bmatrix}$ を用いると

$\displaystyle \vec{n}\cdot(\vec{x}-\vec{x}_0)=0$ (42)

とも表される. $ \vec{x}-\vec{x}_0=t\vec{p}$ であるから, ベクトル $ \vec{n}$ $ \vec{n}\cdot\vec{p}=0$ を満たす. すなわち $ \vec{n}$ は方向ベクトル $ \vec{p}$ と直交する. 方向ベクトルと直交するベクトルを 法線ベクトル(normal vector)という.

さらに式変形する. $ \tilde{a}=-a'/b'=b/a$ とおく. すると

$\displaystyle y=\tilde{a}(x-x_{0})+y_{0}$ (43)

と表される. この式は $ y$$ x$ についての $ 1$ 次関数であることと, 直線は点 $ Q(x_{0},y_{0})$ を通り 傾きが $ \tilde{a}$ であることが分かり易い形である.

注意 1.36 ( $ \mathbb{R}^2$ の直線の方程式)   $ \mathbb{R}^2$ の直線の方程式はいくつかの書き方がある. まず,

$\displaystyle \frac{x-x_0}{a}=\frac{y-y_0}{b}$ (44)

と書くとき, $ \begin{bmatrix}{a}\\ [-.5ex]{b}\end{bmatrix}$方向ベクトルを表す.

$\displaystyle y=ax+b$ (45)

と書くときでは, $ a$傾き$ b$$ y$ 切片をそれぞれ表す.

$\displaystyle ax+by+c=0$ (46)

と書くときは, $ \begin{bmatrix}{a}\\ [-.5ex]{b}\end{bmatrix}$法線ベクトルを表す.

$\displaystyle \frac{x}{a}+\frac{y}{b}=1$ (47)

と書けば, $ a$$ x$ 切片$ b$$ y$ 切片をそれぞれ表す.

1.37 ( $ \mathbb{R}^2$ の直線の方程式の具体例)   点 $ A(1,2)$, $ B(3,-2)$ を通る直線の方程式を考える. まず

$\displaystyle \vec{x}_0=\overrightarrow{OA}= \begin{bmatrix}1 \\ 2 \end{bmatrix...
...rix}- \begin{bmatrix}1 \\ 2 \end{bmatrix}= \begin{bmatrix}2 \\ -4 \end{bmatrix}$ (48)

とおく.$ \vec{p}$ は方向ベクトルである. 直線の方程式のパラメータ表示は

$\displaystyle \vec{x}=\vec{x}(t)= \vec{x}_0+t\vec{p}= \begin{bmatrix}1 \\ 2 \en...
...begin{bmatrix}2 \\ -4 \end{bmatrix}= \begin{bmatrix}2t+1 \\ -4t+2 \end{bmatrix}$ (49)

である. $ \vec{x}=\begin{bmatrix}x \\ y \end{bmatrix}$ とおき $ t$ を消去すると, 直線の方程式の成分表示は

$\displaystyle \frac{x-1}{2}=\frac{y-2}{-4}$ (50)

であり,変形して

$\displaystyle 2x+y-4=0$ (51)

である.法線ベクトルは $ \vec{n}=\begin{bmatrix}2\\ 1\end{bmatrix}$ である. さらに変形して

$\displaystyle y=-2x+4$ (52)

となる.傾きは $ -2$ であり,$ y$ 切片は $ 4$ である. さらに変形して

$\displaystyle \frac{x}{2}+\frac{y}{4}=1$ (53)

となる.$ x$切片は $ 2$ であり,$ y$ 切片は $ 4$ である.

1.38 ( $ \mathbb{R}^2$ の直線の方程式の具体例)   点 $ A(1,2)$, $ B(3,-2)$ を通る直線の方程式を考える. 直線の方程式を

$\displaystyle ax+by=1$ (54)

と仮定する. 点 $ A$, $ B$ は直線上にあるので

$\displaystyle a+2b=1,\qquad 3a-2b=1$ (55)

が成り立つ. この連立方程式を解くと

$\displaystyle a=\frac{1}{2},\qquad b=\frac{1}{4}$ (56)

となる.直線の方程式を

$\displaystyle \frac{x}{2}+\frac{y}{4}=1$ (57)

と得る.

注意 1.39 ( $ \mathbb{R}^2$ の直線の方程式)   直線は $ 2$ 点より定まることと 連立方程式の解が一意に定まることとは等価である.

1.40 (直線)   2 点 $ A(2,-3)$, $ B(-1,1)$ を通る直線を考える. この直線の方向ベクトルは

$\displaystyle \vec{p}=\overrightarrow{AB}= \overrightarrow{OB}-\overrightarrow{...
...x}- \begin{bmatrix}2 \\ -3 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix}-3 \\ 4 \end{bmatrix}$    

である.直線の方程式のパラメータ表示は

$\displaystyle \vec{x}(t)= \begin{bmatrix}x(t) \\ y(t) \end{bmatrix}= \vec{x}_0+...
...egin{bmatrix}-3 \\ 4 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix}2-3t \\ -3+4t \end{bmatrix}$    

である.$ x=2-3t$, $ y=-3+4t$$ t$ を消去すると

$\displaystyle \frac{x-2}{-3}=\frac{y+3}{4}$    

となる.式変形して

$\displaystyle 4(x-2)+3(y+3)=0$    

とする. この式より,この直線は法線ベクトルが

$\displaystyle \vec{n}= \begin{bmatrix}4 \\ 3\end{bmatrix}$    

で点 $ (2,-3)$ を通る直線である. さらに式変形して一般形で表すと

$\displaystyle 4x+3y+1=0$    

である. また,式変形して

$\displaystyle y=-\frac{4}{3}x-\frac{1}{3}, \qquad \frac{x}{-\frac{1}{4}}+\frac{y}{-\frac{1}{3}}=1$    

とする. 直線の傾きは $ -\frac{4}{3}$ であり, $ x$ 切片は $ -\frac{1}{4}$$ y$ 切片は $ -\frac{1}{3}$ である.

次にこの直線と直交し点 $ A(2,-3)$ を通る直線を考える. 法線ベクトル $ \vec{n}$ が方向ベクトルとるので, 法線の方程式は

$\displaystyle \frac{x-2}{4}=\frac{y+3}{3}$    

である.式変形すれば

$\displaystyle 3(x-2)-4(y+3)=0, \quad 3x-4y-18=0, \quad y=\frac{3}{4}x+\frac{9}{2}, \quad \frac{x}{6}+\frac{y}{-\frac{9}{2}}=1$    

と書ける. 法線は傾きが $ \frac{3}{4}$ で, $ x$ 切片が $ 6$ で, $ y$ 切片が $ -\frac{9}{2}$ で, 法線ベクトルが $ \displaystyle{\begin{bmatrix}3 \\ -4 \end{bmatrix}}$ である.


平成20年2月2日