1.35 点と平面との距離

定義 1.168 (点と平面との距離)   $ \mathbb{R}^{n}$ 空間内の点 $ A$ と平面を考える. 点 $ A$ と平面上の点 $ B$ との距離が最小となるとき, その距離を点と平面との距離という.

定理 1.169 (点と平面との距離)   $ \mathbb{R}^{n}$ 空間内の点 $ A$ と平面を考える. 点 $ A$ と平面上の点 $ B$ との距離が最小となるのは 直線 $ AB$ と平面が直交するときである.

1.170 (点と平面との距離)   点 $ A(1,-2,4)$ の平面 $ 2x+3y-z+1=0$ への 正射影は $ B(2,-1/2,7/2)$ である. 直線 $ AB$ は平面に直交する. 距離 $ \overline{AB}$ が点と平面との距離である. よって距離は

$\displaystyle \sqrt{ \left(2-1\right)^2+ \left(-\frac{1}{2}+2\right)^2+ \left(\frac{7}{2}-4\right)^2}= \sqrt{\frac{7}{2}}$ (233)

である.

定理 1.171 (点と平面との距離)   $ \mathbb{R}^{n}$ 空間内の点 $ A(\vec{x}_{0})$ と 超平面 $ \vec{n}\cdot(\vec{x}-\vec{q})=0$ を考える. 点 $ A$ と平面との距離は

$\displaystyle \frac{\left\vert\vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}-\vec{q})\right\vert} {\Vert\vec{n}\Vert}$ (234)

である.

1.172 (点と平面との距離)   これを示せ.

(証明) 点 $ A(\vec{x}_{0})$ から平面 $ \vec{n}\cdot(\vec{x}-\vec{q})=0$ への 正射影を $ B(\vec{x}_{1})$ とする. 距離 $ \overline{AB}=\Vert\vec{x}_{1}-\vec{x}_{0}\Vert$ が 点と平面の距離である. 正射影 $ B(\vec{x}_{1})$

$\displaystyle \vec{x}_{1}= \vec{x}_{0}- \frac{\vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}-\vec{q})}{\Vert\vec{n}\Vert^2} \vec{n}$ (235)

であるから,

$\displaystyle (\vec{x}_{1}-\vec{x}_{0})\cdot(\vec{x}_{1}-\vec{x}_{0})= \left( \...
...}= \left( \frac{\vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}-\vec{q})}{\Vert\vec{n}\Vert} \right)^2$ (236)

より,

$\displaystyle \Vert\vec{x}_{1}-\vec{x}_{0}\Vert= \frac{\vert\vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}-\vec{q})\vert}{\Vert\vec{n}\Vert}$ (237)

を得る.


平成20年2月2日