1.11 内積
定義 1.60 (内積) , に対して
(65)
なる二項演算を内積(inner product)または スカラー積(scalar product)という. また, に対しては
(66)
と定義する.
定義 1.61 (複素数) 複素数(complex number)とは, 実数 に対して で定まる数である. ただし は をみたし, 虚数単位(imaginary unit)と呼ぶ. を実部(real part)といい と表す. を虚部(imaginary part)といい と表す. 虚部が のとき は実数(real number)といい, 実部が のとき は 純虚数(pure imaginary number)という. 複素数全体の集合を と表す. 実部 を横軸に虚部 を縦軸にとることできる 集合 の平面を複素平面(complex plane)と呼ぶ. 複素平面の横軸を実軸(real axis)といい, 縦軸を虚軸(imaginary axis)という. また,複素数 に対して複素数 を の複素共役(complex conjugate)という. 実数 を の絶対値(absolute value) または大きさ(modulus)という. 実数 を の 偏角(argument)という. は複素平面上で原点 0 と との距離を表し, は点 0, を通る直線と実軸とのなす角を表す.
定理 1.62 (複素数の性質) 複素数 に対して次の性質が成り立つ:
(i) (ii) (iii) (iv)
(v) (vi) (vii) (viii) は実数
(ix) は純虚数
例 1.63 (内積の具体例) ベクトル
(67)
の内積は
(68)
である.
例 1.64 (内積の具体例) ベクトル
(69)
の内積は
(70)
である.
例 1.65 (内積の具体例) ベクトル
(71)
の内積は
(72)
である.
定理 1.66 (内積の性質)
- (i)
- (結合則)
- (ii)
- (分配則)
- (iii)
- (スカラー倍の結合則)
- (iv)
- (交換則)
- (v)
- のとき (内積の非負性)
問 1.67 (内積の性質) これを示せ.
平成20年2月2日