5.1 べき級数
定義 5.1 (べき級数) 定数 と 変数 を考える. このとき級数
をべき級数(power series)または 整級数(polynomial series)と呼ぶ. 同様に級数
を のべき級数と呼ぶ.
定理 5.2 (べき級数) 級数 が で収束するとき, 絶対級数 は で収束する. よって級数 も で収束する.
(証明)
収束:有界 のとき, のとき, は収束
定義 5.3 (収束半径) べき級数 は において絶対収束し, において発散する. 定数 を収束半径(radius of convergence)と呼ぶ.
例 5.4 (収束半径の具体例) べき級数
を考える. は のとき収束する (公比が の等比級数であるから). よって は のとき絶対収束する. よって収束半径は である.
定理 5.6 (収束半径の計算法) べき級数 を考える. 極限
または
が存在するとき, べき級数 の収束半径は である.
(証明) 級数 と その絶対級数 を 考える. このとき
であるので, が収束するとき も収束する. とおくと, であるから は正項級数となる. ゆえにダランベールの 収束判定法(定理 )より, 級数 は
のとき収束する. よって
となる. これより
を得る. 以上より収束半径は
と求まる. 同様にしてコーシーの 収束判定法(定理 )より が求まる.
例 5.7 (収束半径の計算例) べき級数
の収束半径を求める. であるから,収束半径は
と求まる. べき級数 は のとき収束し, のとき発散する.べき級数
の収束半径を求める. であるから,収束半径は
と求まる.収束半径は である. べき級数 は任意の実数 に対して収束する.べき級数
の収束半径を求める. であるから, 収束半径は
と求まる. べき級数 は のとき収束し, のとき発散する.
平成19年10月3日