5.32 ユニタリー行列の対角化
定理 5.111 (ユニタリー行列の固有値) ユニタリー行列の固有値は絶対値が となる複素数である.
(証明) , とし, 上の内積を用いて,
が成り立つ. ここで, を用いた. , より, が成立する.
注意 5.112 (ユニタリー行列) ユニタリー行列は正規行列である.
定理 5.113 (ユニタリー行列の固有ベクトル) ユニタリー行列において, 異なる固有値に属する固有ベクトルは直交する.
(証明) ユニタリー行列は正規行列であるので固有ベクトルは直交する. または,次のように示す. であり, 固有値は複素平面の単位円上にあるから, , , ( ) とする. 上の内積を用いて,
となる. ここで を用いた.
であるから, より を得る.
定理 5.114 (ユニタリー行列の対角化) ユニタリー行列 の 固有値を とする. このとき, は ユニタリー行列 を用いて
と対角化される. ただし, は の固有ベクトルであり, がユニタリー行列となるように選ぶとする.
Kondo Koichi
平成18年1月17日