3.9 解をもつための連立 1 次方程式の条件
連立 1 次方程式
(461)
を考える. 以後この方程式に対して議論する.方程式 の解を求めるには まず,拡大係数行列 の簡約化を行なう. このとき得られた行列が
(462)
と得られたとしよう. このとき零ベクトルではない一番下の行に着目すると
(463)
となる. となり矛盾する. よってこのとき, 方程式 は解をもたない. 各係数行列のランクに着目すると,
(464)
であるから,
(465)
が成り立つ. この条件のもとでは解をもたない. 次に簡約化の結果として
の簡約化行列 (466)
を得たとする. こときは解をもつ. 係数行列のランクは が成り立つ. 以上をまとめると次の定理が成り立つ.
定理 3.33 (連立 1 次方程式の可解条件) 方程式 が解をもつための 必要十分条件は
(467)
である.解に任意定数を含まないのは, 簡約行列のすべての列に主成分が現れるときである. つまり係数行列のランクと変数の個数が一致するときである. これをまとめると以下の定理を得る.
定理 3.34 (一意な解をもつ条件) 方程式 が唯一つの解をもつための 必用十分条件は
(468)
である.
定理 3.35 (任意定数を含む解をもつ条件) 方程式
(469)
は
(470)
のとき任意定数を含む解をもつ. このとき任意定数の個数は
(471)
である.
Kondo Koichi
平成17年9月15日