3.10 同次形の解
定義 3.36 (同次形方程式) において が成り立つとき, 方程式 は同次形(homogeneous)と呼ぶ. とき非同次形(inhomogeneous)と呼ぶ.
定理 3.37 (同次形の解の存在) 同次方程式は が常になり立つので, 常に解 をもつ.
定義 3.38 (同次形の自明解) 同次方程式 の解 を 自明な解と呼ぶ.
定理 3.39 (同次方程式の解) 同次方程式 について次の条件が成り立つ:
- (1)
- 自明な解 のみをもつための必用十分条件は
(472)
である.- (2)
- のとき,方程式は自明でない解(任意定数を含む解)をもつ.
(証明)(1)前述の定理より唯一つの解をもつための必要十分条件は
(473)
である. 拡大係数行列の一番右の列の はランクに影響を与えない. よって定理の条件を得る.(2) , と条件 より
(474)
を得る.(1)の定理より自明でない解をもつ. 証明終了.
例 3.40 (同次形方程式の解) 方程式
(475)
を考える. 係数行列を簡約化して
(476)
を得る.よって解は
(477)
となる. 解は原点を通る2次元平面である.
例 3.41 (同次形方程式の解) 方程式
(478)
を考える. 係数行列を簡約化して
(479)
を得る. であり, 任意定数の個数は となるから, 解は一意な解となる. 以上より解は自明な解 のみである.
例 3.42 (同次形方程式の解) 方程式
(480)
を考える. 行の個数と列の個数をみると であるから, 必ず となり, 任意定数の個数は となる. 必ず 個以上の任意定数を含むから, 解は非自明な解となる.
Kondo Koichi
平成17年9月15日