1.2 $ \mathbb{R}^2$ の直線

注意 1.5 (直線の方程式)   $ xy$ 平面内の直線の方程式は

$\displaystyle y=ax+b$    

と表される.$ a$ は傾きを表し,$ b$$ y$ 切片である. また,式変形して

$\displaystyle \frac{x}{a}+\frac{y}{b}=1$    

と表すと,$ a$$ x$ 切片であり,$ b$$ y$ 切片を表す. 式変形すると様々な意味をもつ. 通常,直線の方程式の標準形は, 非同次 1 次方程式

$\displaystyle ax+by+c=0$    

の形で表す.

注意 1.6 (直線の方程式と方向ベクトル)   $ xy$ 平面内の直線を

$\displaystyle \frac{x-x_0}{a}=\frac{y-y_0}{b}$    

と表す.このとき, パラメータ $ t$ を用いてベクトルで表記すると

$\displaystyle \vec{x}=\vec{x}_0+t\vec{p}, \qquad \vec{p}= \begin{bmatrix}a \\ b...
...}x \\ y \end{bmatrix}, \quad \vec{x}_0= \begin{bmatrix}x_0 \\ y_0 \end{bmatrix}$    

とパラメータ表示される. $ \vec{p}$ は直線の向きを表し, 方向ベクトル(direction vector)という.

注意 1.7 (直線の方程式と法線ベクトル)   $ xy$ 平面内の直線を

$\displaystyle a(x-x_0)+b(y-y_0)=0$    

と表す.このとき,ベクトルで表記すると

$\displaystyle \vec{n}\cdot(\vec{x}-\vec{x}_0)=0, \qquad \vec{n}= \begin{bmatrix...
...}x \\ y \end{bmatrix}, \quad \vec{x}_0= \begin{bmatrix}x_0 \\ y_0 \end{bmatrix}$    

と表される. $ \vec{n}\perp\vec{x}-\vec{x}_0$ であり, $ \vec{n}$ は直線に直交するベクトルである. $ \vec{n}$法線ベクトル(normal vector)という.

1.8 (直線)   2 点 $ A(2,-3)$, $ B(-1,1)$ を通る直線を考える. この直線の方向ベクトルは

$\displaystyle \vec{p}=\overrightarrow{AB}= \overrightarrow{OB}-\overrightarrow{...
...x}- \begin{bmatrix}2 \\ -3 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix}-3 \\ 4 \end{bmatrix}$    

である.直線の方程式のパラメータ表示は

$\displaystyle \vec{x}(t)= \begin{bmatrix}x(t) \\ y(t) \end{bmatrix}= \vec{x}_0+...
...egin{bmatrix}-3 \\ 4 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix}2-3t \\ -3+4t \end{bmatrix}$    

である.$ x=2-3t$, $ y=-3+4t$$ t$ を消去すると

$\displaystyle \frac{x-2}{-3}=\frac{y+3}{4}$    

となる.式変形して

$\displaystyle 4(x-2)+3(y+3)=0$    

とする. この式より,この直線は法線ベクトルが

$\displaystyle \vec{n}= \begin{bmatrix}4 \\ 3\end{bmatrix}$    

で点 $ (2,-3)$ を通る直線である. さらに式変形して一般形で表すと

$\displaystyle 4x+3y+1=0$    

である. また,式変形して

$\displaystyle y=-\frac{4}{3}x-\frac{1}{3}, \qquad \frac{x}{-\frac{1}{4}}+\frac{y}{-\frac{1}{3}}=1$    

とする. 直線の傾きは $ -\frac{4}{3}$ であり, $ x$ 切片は $ -\frac{1}{4}$$ y$ 切片は $ -\frac{1}{3}$ である.

次にこの直線と直交し点 $ A(2,-3)$ を通る直線を考える. 法線ベクトル $ \vec{n}$ が方向ベクトルとるので, 法線の方程式は

$\displaystyle \frac{x-2}{4}=\frac{y+3}{3}$    

である.式変形すれば

$\displaystyle 3(x-2)-4(y+3)=0, \quad 3x-4y-18=0, \quad y=\frac{3}{4}x+\frac{9}{2}, \quad \frac{x}{6}+\frac{y}{-\frac{9}{2}}=1$    

と書ける. 法線は傾きが $ \frac{3}{4}$ で, $ x$ 切片が $ 6$ で, $ y$ 切片が $ -\frac{9}{2}$ で, 法線ベクトルが $ \displaystyle{\begin{bmatrix}3 \\ -4 \end{bmatrix}}$ である.

Kondo Koichi
平成18年1月18日