2.29 みかけ上の不連続点

2.91 (不連続点の除去の具体例)   $ f(x)=\displaystyle{\frac{\sin x}{x}}\ (x\neq 0)$$ x=0$ において 不連続である.なぜなら $ f(0)$ が定義されていないからである. しかし $ f(x)$

$\displaystyle f(x)=\left\{ \begin{array}{cc} \displaystyle{\frac{\sin x}{x}} & (x\neq 0)\\ [1em] 1 & (x=0) \end{array} \right.$ (172)

と定義すると $ f(x)$$ x=0$ において連続となる. なぜなら $ f(0)=\displaystyle{\lim_{x\to+0}f(x)=\lim_{x\to-0}f(x)=1}$ が 成立するからである. 再定義することにより不連続な点 $ x=0$ は取り除かれた.

2.92 (不連続点を除去できない具体例)   $ \displaystyle{f(x)=\frac{1}{x-1}\ (x\neq a)}$ は点 $ x=a$ において不連続である. 点 $ x=a$ における値を $ f(a)=b$ と定義することにする. うまく $ b$ を定めることにより不連続点は取り除くことができるであろうか. $ \displaystyle{\lim_{x\to a+0}f(x)=+\infty}$, $ \displaystyle{\lim_{x\to a-0}f(x)=-\infty}$ であるので, 点 $ x=a$ の左右で極限がことなる.よってどのように $ f(a)=b$ を定めても 不連続な点を取り除くことはできない.

2.93 (不連続点の除去の具体例)   $ \displaystyle{f(x)=\frac{x-1}{x-1}\ (x\neq1)}$ を考える. $ f(x)$ は点 $ x=1$ において不連続である. しかし $ f(x)$ は分子分母が等しいので, $ x\neq1$ となる点において $ f(x)=1$ である.よって $ \displaystyle{\lim_{x\to1\pm0}f(x)=1}$ となる. ゆえに点 $ x=1$ の値を $ f(1)=1$ と定義すれば不連続点は取り除かれる. 結局,点 $ x=1$ はみかけ上の不連続点であり本質的な不連続点ではない.

2.94 (不連続点の除去の例)   次の関数を $ x=0$ で連続となるように $ f(0)$ の値を定義せよ.

$\displaystyle (1)\quad$ $\displaystyle f(x)=\frac{\tan x}{x}\quad(x\neq0)$ (173)
$\displaystyle (2)\quad$ $\displaystyle f(x)=x\,\sin\frac{1}{x}\quad(x\neq0)$ (174)
$\displaystyle (3)\quad$ $\displaystyle f(x)=\frac{x^3-1}{x}+\frac{x+1}{x}\quad(x\neq0)$ (175)

Kondo Koichi
平成17年8月31日