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12 直交変換

定義 2.55 (直交変換)   線形変換 $ f:V\to V$; $ \vec{y}=f(\vec{x})$

$\displaystyle \Vert f(\vec{x})\Vert=\Vert\vec{x}\Vert$    

をみたすとき, $ f$直交変換(orthogonal transformation)という.

注意 2.56 (直交変換のノルムの不変性)   ベクトル $ \vec{x}$ の長さと直交変換で写されたベクトル $ \vec{y}$ の 長さは等しい.

定義 2.57 (直交変換の内積の不変性)   線形変換 $ f$ が直交変換であるための必用十分条件は

$\displaystyle (f(\vec{x}),f(\vec{x}'))=(\vec{x},\vec{x}'), \qquad \forall \vec{x},\vec{x}'\in V$    

である.


(証明)    

定理 2.58 (直交変換の角の不変性)   ベクトル $ \vec{x}$, $ \vec{x}'$ を直交変換 $ f$ に写したベクトルを $ \vec{y}$, $ \vec{y}'$ とする. このとき,$ \vec{x}$, $ \vec{x}'$ のなす角と $ \vec{y}$, $ \vec{y}'$ のなす角とは等しい.

注意 2.59 (合同変換)   直交変換は合同変換のひとつである. 合同変換(congruent transformation)とは, 長さと角を不変に保つ変換のことをいう. 合同変換で写される図形は,変換前の図形と後の図形とは合同となる. また,角を不変に保ち,長さはある定数倍になる変換のことを 相似変換(similarity transformation)という. 角を不変に保つ変換を等角変換という.

定理 2.60 (直交変換と直交行列)   直交変換の表現行列は直交行列である.


(証明)     (十分) $ A$ を直交行列とする.

$\displaystyle \vec{y}=A\vec{x}, \quad \vec{y}'=A\vec{x}$    

とおく.このとき

$\displaystyle (f(\vec{x}),f(\vec{x}'))= (\vec{y},\vec{y}')= (A\vec{x},A\vec{x}'...
...x}'= {\vec{x}}^{T}({A}^{T}A)\vec{x}'= {\vec{x}}^{T}E\vec{x}= (\vec{x},\vec{x}')$    

をみたす.



Kondo Koichi
Created at 2004/12/13