? 3.36 (任意定数を含む解って何?)
方程式
の解を考えよう.
この方程式の解はどのように表現したらよいだろうか.
まずは具体的にいくつか解を書き下してみよう.
解は方程式に代入して成り立てばよいから,
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(425) |
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は解となるのがすぐ分かる.
この解から予想できることとして
は任意の値で良さそうである.
これを
としよう.
とおけば
である.
よって解として
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(430) |
を得る.確にこれが解となっているかは,
方程式
に代入すればよい.
この解は任意定数を含む解である.
変数の個数は
個であり,
方程式の本数が
本であるので,
任意定数の個数は
個となる.
次に方程式
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(431) |
を考えよう.第一式は先ほどの方程式と同じである.
であるから第一式を満たす解として
を得る.
第二式も第一式と同じ形をしており,
変数名が違うだけである.
よって解は
である.
しかし第一式と第二式とは独立しているので,
任意定数も独立してとり得る.
これを
,
としよう.
よって解として
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(432) |
を得る.
変数が
個,方程式が
本,
任意定数が
個である.
以上より,
任意定数の個数は変数の個数から方程式の(本質的な)本数を引い
たものである.
? 3.37 (簡約化って何?)
方程式
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(433) |
を考えよう.第一式から第二式を引くと,
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(434) |
を得る.
第一式から変数が
個減っている.
このとき係数行列は
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のように変形される.
右の行列は簡約な行列となっている.
次に方程式
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(436) |
を考えよう.
方程式と係数行列の変化をみよう:
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(437) |
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(441) |
このように基本変形により変数が減って行く.
この手順によりうまく変数を減らすことができる.
ある行列が与えられたとき,
その行列に対して簡約な行列は一意に定まる.
つまり,
与えられた方程式に対して常に
うまい変数の減らし方が存在することを意味する.