5.20 テイラー級数を用いた関数の極限の計算
関数
の における極限を考える. をテイラー級数で表わしたのち関数の極限を求める. すなわち
として計算する. まず分子である をテイラー展開すると
となる. 次に分子 を分母 で割り, のテイラー展開を求める. すなわち
を得る. もとの関数とテイラー級数で表わした関数とは等価なものである. よって
を得る. 関数 はもともと点 において 値が定義されていない. しかしながら, 等価な式であるテイラー級数では, 点 は特別な点ではない. 点 は見かけの不連続点である. ある関数に不連続点があるとき, その不連続点が取り除けるかどうかは, その関数をテイラー級数表示をすればよい.
問 5.50 (極限の計算) 極限
を求めよ.
例 5.51 (テイラー展開を用いた極限の計算の例) 関数
に対して極限 を考える. このとき
として極限を求める. しかしながら, べき級数 は存在しない. そこで変数を と導入する. すると極限は
と表わされる. を計算すると
となる.まず をテイラー展開すると
を得る. これを用いて のテイラー展開を求めると
となる.よって極限は
と得られる.
平成21年6月1日