4.16 クラメールの公式
定理 4.98 (クラメールの方法) 連立 1 次方程式 に関して, 係数行列
(784)
が 次正方行列でかつ正則なとき, 方程式の解 は
(785)
で与えられる. これをクラメールの方法(Cramer's rule)という.
(証明) は正則であるから, 方程式 に左から を掛けると
(786)
が成り立つ. 成分で表すと
(787)
より
(788)
を得る. これは第 列の余因子展開だから
(789)
が示された.
注意 4.99 (クラメールの方法) 解をもつためには分母 が 0 となってはいけない. である必要がある. すなわち は正則のときクラメールの方法は 使用できる.
例 4.100 (クラメールの公式の使用例) 方程式
(790)
を考える. 行列式は
(791)
であり,解は
(792)
と求まる.
例 4.101 (クラメールの公式の使用例) 方程式
(793)
の解を求める.
(794)
であり, 解は
(795) (796) (797)
である.
平成20年2月2日