定義 3.8 (連立 1 次方程式の基本変形)
連立 1 次方程式に対する次のの操作を
連立 1 次方程式の基本変形と呼ぶ.
- (1)
- 一つの式を
倍する.
- (2)
- 二つの式を入れ替える.
- (3)
- 一つの式を 倍して別の行に加える.
連立 1 次方程式に基本変形をして得られた方程式と
元の方程式とは等価な方程式である.
すなわち両者は同じ解をもつ.
連立 1 次方程式とその行列表現は,方程式としては等価なものである.
連立 1 次方程式の基本変形は,
行列表現では次の行列の行の基本変形となる.
定義 3.9 (行列の行の基本変形)
行列に対する次の操作を
行列の行の基本変形
(matrix elementary row transformation)と呼ぶ.
- (1)
- 一つの行を
倍する.
- (2)
- 二つの行を入れ替える.
- (3)
- 一つの行を 倍して別の行に加える.
定理 3.10 (掃き出し法)
拡大係数行列
に基本変形を繰り返し行ない,
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(393) |
の形に変形ができたとする.
このとき解は
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(394) |
と得られる.
この解法を
掃き出し法(sweeping-out method)または
ガウスの消去法(Gaussian elimination)と呼ぶ.
例 3.11 (掃き出し法による計算例)
連立 1 次方程式
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(395) |
を考える.
基本変形を繰り返し行なう.
連立方程式とその拡大係数行列
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(396) |
に基本変形をほどこす.
第二式を
倍し第一式に加えると
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(397) |
を得る.
第一式と第二式を入れ換えて
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(398) |
となる.第二式を
倍し第一式に加えると
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(399) |
となる.第二式を
倍すると
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(400) |
を得る.結局拡大係数行列は
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(401) |
と変形された.
以上より,解は
と求まる.
例 3.12 (掃き出し法による計算例)
連立 1 次方程式
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(402) |
を考える.
拡大係数行列に基本変形を繰り返し行なう.
連立 1 次方程式とその拡大係数行列
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(403) |
に基本変形をほどこす.
第三行を
倍して第一式に足すと
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(404) |
となる.
第三行を第一式に足すと
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(405) |
となる.
第一式と第三行を入れ替えると
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(406) |
となる.
第三式を
倍して第一行に加えると
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(407) |
となる.
第三式を
倍して第二行に加えると
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(408) |
となる.
第二式と第三式を入れ替えると
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(409) |
となる.
第三式を
倍すると
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(410) |
となる.
第三式を
倍して第一式に足すと
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(411) |
となる.
第三式を
倍して第二式に足すと
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(412) |
となる.
よって
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(413) |
を得る.
以上より,解は
と求まる.
例 3.13 (掃き出し法による計算例)
連立 1 次方程式
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(414) |
を考える.
拡大係数行列に基本変形を繰り返し行ない,
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(415) |
を得る.
以上より,解は
と求まる.
問 3.14
教科書(p.22)問題2.1.
平成20年2月2日