2.2 行ベクトル,列ベクトル

定義 2.2 (行ベクトル)   $ 1\times n$ 行列

$\displaystyle \begin{bmatrix}a_{11} & a_{12} & \cdots & a_{1n} \end{bmatrix}$ (254)

$ n$ 次の行ベクトル(row vector)と呼ぶ.

2.3 (行ベクトルの具体例)   4 次の行ベクトル:

$\displaystyle \begin{bmatrix}0 & 2 & 0 & 1 \end{bmatrix}$ (255)

定義 2.4 (列ベクトル)   $ m\times1$ 行列

$\displaystyle \begin{bmatrix}a_{11} \\ a_{21} \\ \vdots \\ a_{m1} \end{bmatrix}$ (256)

$ m$ 次の列ベクトル(column vector)と呼ぶ.

2.5 (列ベクトルの具体例)   3 次の列ベクトル:

$\displaystyle \begin{bmatrix}1 \\ 5 \\ 3 \end{bmatrix}$ (257)

注意 2.6 (ベクトルの呼び方と書き方)   行ベクトル,列ベクトルを総称してベクトル(vector)と呼ぶ. ベクトルを表わす変数は太文字で書き, $ \vec{a}$, $ \vec{b}$, $ \vec{c}$, $ \vec{x}$, $ \vec{y}$ のように 表記する.

定義 2.7 (零ベクトル)   成分が全て 0 のベクトルを零ベクトルと呼び $ \vec{0}$ と表わす.

注意 2.8 ($ 1\times1$ 行列)   $ 1\times1$ 行列である $ [a_{11}]$ は要素は一つしかないが, あくまでも行列であるので注意する. しかしまれに数として取り扱うこともあるので, 更に注意が必要である.

2.9 (行列の名称等)   行列

$\displaystyle A$ $\displaystyle = \begin{bmatrix}-1 & 2 & 6 & -4 & 5 \\ 3 & 0 & 12 & 0 & 4 \\ 1 & 4 & 0 & 7 & 1 \end{bmatrix}$ (258)

を考える.
(1)    行列 $ A$ の型は $ 3\times 5$ 型である.
(2)    $ (2,1)$ 成分は $ a_{21}=3$ であり, $ (3,4)$ 成分は $ a_{34}=7$ である.
(3)     第 $ 2$ 行は

$\displaystyle \begin{bmatrix}3 & 0 & 12 & 0 & 4 \end{bmatrix}$ (259)

であり,第 $ 3$ 列は

$\displaystyle \begin{bmatrix}6 \\ 12 \\ 0 \end{bmatrix}$ (260)

である.
(4)     行列 $ A$ の転置行列 $ {A}^{T}$

$\displaystyle {A}^{T}$ $\displaystyle = \begin{bmatrix}-1 & 3 & 1 \\ 2 & 0 & 4 \\ 6 & 12 & 0 \\ -4 & 0 & 7 \\ 5 & 4 & 1 \end{bmatrix}$ (261)

である.


平成20年2月2日