2.8 多価関数

定義 2.29 (一価関数,多価関数)   ある一つの $ x$ の値に対して $ y=f(x)$ の値が $ n$ 個定まるとき, $ y$$ n$ 価($ n$ -valued function) であるという. すべての $ x$ に対して $ y$$ 1$ 価であるとき $ f$$ 1$ 価関数(single valued function) という. $ 1$ 価関数ではないとき多価関数(many valued function) という. $ y$ が最大で $ n$ 価となるとき $ f$$ n$ 価関数($ n$ -valued function) という.

定義 2.30 (枝,主枝,主値)   多価関数が一価関数となるように値域を限定する. このとき得られる一価関数それぞれを分枝(branch)と呼ぶ. この分枝のうち代表する一つを 主分枝(principal branch)と呼ぶ. 主分岐は主値(principal value)ともいう.

2.31 (一価関数,多価関数,逆関数,分枝の具体例)   $ y=f(x)=x^2$ は一価関数である. この関数の逆関数は $ y=f^{-1}(x)=\pm\sqrt{x}$ であり 2 価関数となる. 値域を $ y\geq0$$ y\leq0$ とに限定すると 一価関数が二つ得られる. すなわち分枝は $ y=\sqrt{x}$ $ y=-\sqrt{x}$ である.




平成19年10月3日