3.40 グラム・シュミットの直交化法
定義 3.155 (正規直交化) 内積空間 において,基底 , , , を基底 , , , に取り替える. このとき が正規基底となるとき, この操作を正規化(normalize)という. 直交基底となるとき,直交化(orthogonalize)という. 正規直交基底となるとき,正規直交化(orthonormalize)という.
定理 3.156 (正規化) 内積空間 の 基底 に対して 次の式で定まる は 正規基底となる:
定理 3.157 (グラム・シュミットの直交化法) 内積空間 の基底 に 対して次の式で定まる は の正規直交基底となる. この手法を グラム・シュミットの直交化法(Gram-Schmidt orthogonalization) という.
(証明)
以下同様.
例 3.158 (グラム・シュミットの直交化法の具体例) の基底
を正規直交化する. グラム・シュミットの直交化法より,
となる. 以上より
は をみたし, の正規直交基底となる.
例 3.159 (グラム・シュミットの直交化法の具体例) の基底
を正規直交化する. グラム・シュミットの直交化法より,
となる. 以上より
は
をみたし, の正規直交基底となる.
問 3.160 (グラム・シュミットの直交化法の具体例) の基底 , , , , , , を グラム・シュミットの直交化法で正規直交化せよ. ただし,内積は
とする.
(答え) , , , , とおく. のノルムは
であるから,まず,
とおく.次に と の内積は
であるから,これらは直交しない. ここで
とおくと と は直交する. のノルムは
である. を正規化すると
となる. と とは正規直交系である. 以下 , , は自習.
Kondo Koichi
平成18年1月17日