3.22 一般の場合での 1 次独立なベクトルの最大個数
定理 3.82 ( 1 次独立なベクトルと行列) ベクトル , , , が 1 次独立であり, ベクトル , , , が
をみたす.
- (i).
- の 1 次関係と の 1 次関係は等しい.
- (ii).
- 特に のとき, が 1 次独立であることと, が正則であることとは,必用十分条件である.
(証明) (i) ベクトル , , の 1 次関係は
となる. , , は 1 次独立であるから, となる. より
を得る. これは , , の 1 次関係である. (ii) のとき は正方行列であるから, , , が 1 次独立であることと が正則であることは等価である.
例 3.83 ( 1 次独立なベクトルと行列) ベクトル空間 のベクトル
が 1 次独立であるか調べる. まず,ベクトル は明らかに 1 次独立である. このとき と とは
☆
の関係にある. 次に の 1 次関係は
0
と表される. (☆)を用いると
となり, に関する 1 次関係を得る. は 1 次独立であるから が 成立する. よって は をみたす. とおくと,
となるので, と の 1 次関係は等しい. ここで,行列 を簡約化して
とおく. このときある正則行列 を用いて と表されるから, より が成り立つので, と の 1 次関係は等しい. よって, の 1 次関係は の 1 次関係より定まる.
より, は 1 次独立である. , は の 1 次結合で表される. よって の 1 次独立なベクトルの 最大個数は である. 行列 の列ベクトルに対しても同じ 1 次関係が成り立つので, は 1 次独立である. 残りのベクトルは , と 1 次結合で表される. の 1 次独立なベクトルの 最大個数は である. にも同じ 1 次関係が成り立つので, は 1 次独立である. 残りのベクトルは , と 1 次結合で表される. よって の 1 次独立なベクトルの最大個数は である.
Kondo Koichi
平成18年1月17日