3.1 ベクトル空間
定義 3.1 (ベクトル空間) 集合 の任意の元 , と 体 ( または )の任意の元 に対して, 和 とスカラー倍 が定義されていて, 次の性質(i)-(viii)をみたすならば, を 上のベクトル空間(vector space)と呼び, の元 をベクトル(vector)と呼ぶ.
- (交換則) .
- (結合則) .
- (零元の存在) .
- (スカラー倍に関する結合則) .
- (スカラー倍に関する分配即) .
- (スカラー倍に関する分配即) .
- (スカラー倍に関する単位元) .
- (スカラー倍に関する零元) .
例 3.2 (ベクトル空間の例)
- 実列ベクトル全体の集合:
条件(i)-(viii)をみたすので は 上のベクトル空間である.- 複素列ベクトル全体の集合:
条件(i)-(viii)をみたすので は 上のベクトル空間である.- 実行ベクトル全体の集合:
条件(i)-(viii)をみたすので は 上のベクトル空間である.- 複素行ベクトル全体の集合:
条件(i)-(viii)をみたすので は 上のベクトル空間である.- 高々 次の実係数多項式全体の集合:
の元は多項式であり
と表される.これらの和は
となり,スカラー倍は
となる. は和とスカラー倍の演算について閉じている. また, 条件(i)-(viii)をみたすので, は 上のベクトル空間である.- 区間 で連続な関数全体の集合: . の元は関数であり とおく. これらの和は
であり連続関数となる. スカラー倍は
であり連続関数となる. は和とスカラー倍に関して閉じている. また,条件(i)-(viii)をみたすので, は 上のベクトル空間である.- 無限回微分可能な関数全体の集合 は 上のベクトル空間である.
Kondo Koichi
平成18年1月17日