5.23 対称行列の対角化
定義 5.61 (対称行列) 行列 が をみたすとき, を 対称行列(symmetric matrix)という.
注意 5.62 (対称行列) 対称行列は
の形で表される.
例 5.63 (対称行列の具体例) 次に行列は対称行列である.
定義 5.64 (共役行列) 行列 に対して と定義する.
定義 5.65 (共役転置行列) 行列 に対して 共役転置行列を と定義する.
定理 5.66 (対称行列の固有値) 対称行列の固有値はすべて実数である.
(証明) において, 上の内積を用いて
を得る.ここで,
が成り立つことを用いた. となるので, は実数である.
注意 5.67 (対称行列の固有値) 実対称行列の固有値は実数なので, 固有ベクトルも実数である.
注意 5.68 (対称行列と正規行列) 対称行列は正規行列である.
定理 5.69 (対称行列の固有値) 対称行列の異なる固有値に属する固有ベクトルは直交する.
(証明) 対称行列は正規行列であるから固有ベクトルは直交する. または,次のように示す. , , , とする. このとき,
となる.
であるから, より を得る.
定理 5.70 (対称行列の対角化) 対称行列 は 対角行列 と直交行列 を用いて
と対角化される.
Kondo Koichi
平成18年1月17日