5.17 3 次正方行列の対角化
例 5.48 (対角化の具体例) 行列
を対角化する.まず,行列 の固有多項式は
であるから, 固有値は より 2 重 となる. のとき,
となるので, を解いて 固有ベクトルは
と得られる. のとき,
となるので, を解いて 固有ベクトルは
と得られる.行列 を対角化する. 重複する固有値は別のものとして考えて, 三つの固有値を , , とおく. それぞれの固有値に属する固有ベクトルを
と選ぶ. このとき, 同じ固有値 に属する 固有ベクトル , を選ぶときは, 1 次独立となるよう選ぶ. 以上より,
とおくと,行列 は
と対角化される.
注意 5.49 (対角化の任意性) , , の 取り方の順には自由度がある. 固有値の取り方にもスカラー倍の自由度がある. よって , は一通りに定まるわけではない.
注意 5.50 (固有空間による直和分解) 線形変換 の固有空間は
である. , , となるので,
が成り立つ. は固有空間に直和分解される. の基底は , の基底は , の基底は となる.
問 5.51 (固有空間) 固有空間 は原点を通り法線ベクトル の平面であり, 固有空間 は原点を通り方向ベクトル の直線である. 直線と平面のなす角度の最小値を求めよ.
Kondo Koichi
平成18年1月17日