5.10 ケイリー・ハミルトンの定理
定義 5.26 (行列の多項式) を多項式
とする. このとき正方行列 に対して を
と定義する.
定理 5.27 (ケイリー・ハミルトンの定理) 正方行列 の固有多項式を とする. このとき
が成り立つ. これをケイリー・ハミルトン(Caley-Hamilton)の定理 という.
例 5.28 (ケイリー・ハミルトンの定理の使用例) 正方行列
の固有多項式は
である. このとき ケイリー・ハミルトンの定理より
☆
が成り立つ. これを用いて , , , を求める. (☆)の両辺に を左から掛けると
となる. これを変形して
を得る. 次に(☆)を変形して
♭
を得る. さらに(♭)を用いて
を得る.
問 5.29 (ケイリー・ハミルトンの定理の使用例) この例題において を求めよ.
(答え) まず
とおく.このとき
となる.よって漸化式
を得る. これは漸化式
とも表される.この一般項は
となる. よって
を得る.
Kondo Koichi
平成18年1月17日