4.15 クラメールの公式
定理 4.88 (クラメールの方法) 連立 1 次方程式 に関して, 係数行列
(803)
が 次正方行列でかつ正則なとき, 方程式の解 は
(804)
で与えられる. これをクラメールの方法(Cramer's rule)という.
(証明) は正則であるから, 方程式 に左から を掛けると
(805)
が成り立つ. 成分で表すと
(806)
より
(807)
を得る. これは第 列の余因子展開だから
(808)
が示された.
注意 4.89 (クラメールの方法) 解をもつためには分母 が 0 となってはいけない. である必要がある. すなわち は正則のときクラメールの方法は 使用できる.
例 4.90 (クラメールの公式の使用例) 方程式
(809)
を考える. 行列式は
(810)
であり,解は
(811)
と求まる.
例 4.91 (クラメールの公式の使用例) 方程式
(812)
の解を求める.
(813)
であり, 解は
(814) (815) (816)
である.
Kondo Koichi
平成17年9月15日