4.14 余因子行列と逆行列
定理 4.82 (行列式と行列の正則性) 正方行列 に対して, のとき は正則である.
(証明) 定理
(784)
であるから, とすると各辺を で割って
(785)
が成り立つ.よって は の逆行列であり, は正則である.
定理 4.83 (余因子行列と逆行列) 正方行列 に対して, のとき の逆行列は
(786)
で与えられる.
定理 4.84 (逆行列が存在するための十分条件) 正方行列 , に対して (または )が成立するとき, は の逆行列となる.
(証明) より,両辺の行列式をとると
(787)
が成り立つ. これより を得る. よって, のとき は正則であるから, 逆行列 をもつ. さらに が存在することを用いると
(788)
が成り立つ. が示された.
例 4.85 (余因子行列による逆行列の計算の具体例) のとき逆行列は
(789) (790)
である. のとき逆行列は
(791) (792)
である.
例 4.86 (余因子行列による逆行列の計算例) 行列
(793)
の逆行列を求める. 行列式は
(794)
であるから, 逆行列は
(795)
で与えられる.
例 4.87 (余因子行列による逆行列の計算例) 行列
(796)
の逆行列を求める. 小行列の行列式は
(797) (798) (799)
であり,行列式は
(800)
であるので, 逆行列は
(801) (802)
と与えられる.
Kondo Koichi
平成17年9月15日