4.5 行列式の行に関する性質

定理 4.42 (行列式の行に関する性質)   行列式は次の性質もつ.
(1)
$ (1,1)$ 成分を除いて $ 1$ 列目が全て 0 の場合は 行列式のサイズが一つ下がる.

$\displaystyle \begin{vmatrix}a_{11}\! & \!a_{12}\! & \!\cdots\! & \!a_{1n} \\ 0...
...{2n} \\ \vdots\! & & \!\vdots \\ a_{n2}\! & \!\cdots\! & \!a_{nn} \end{vmatrix}$ (706)

(2)
$ i$ 行目の要素全てが共通因子 $ \alpha$ をもつとき, $ \alpha$ は行列式の外へ.

$\displaystyle \begin{vmatrix}a_{11}\! & \!a_{12}\! & \!\cdots\! & \!a_{1n} \\ \...
...s\! & & \!\vdots \\ a_{n1}\! & \!a_{n2}\! & \!\cdots\! & \!a_{nn} \end{vmatrix}$ (707)

(3)
$ i$ 行が二つのベクトルの和で表されるとき, 行列式の和に分解される.

$\displaystyle \begin{vmatrix}a_{11}\! & \!a_{12}\! & \!\cdots\! & \!a_{1n} \\ \...
...s\! & & \!\vdots \\ a_{n1}\! & \!a_{n2}\! & \!\cdots\! & \!a_{nn} \end{vmatrix}$ (708)

(4)
$ i$ 行と第 $ j$ 行を入れ替えると 行列式の符合が反転する.

$\displaystyle \begin{vmatrix}a_{11}\! & \!a_{12}\! & \!\cdots\! & \!a_{1n} \\ \...
...s\! & & \!\vdots \\ a_{n1}\! & \!a_{n2}\! & \!\cdots\! & \!a_{nn} \end{vmatrix}$ (709)

(5)
同じ行があるときは行列式は 0 となる.

$\displaystyle \begin{vmatrix}a_{11}\! & \!a_{12}\! & \!\cdots\! & \!a_{1n} \\ \...
... & & \!\vdots \\ a_{n1}\! & \!a_{n2}\! & \!\cdots\! & \!a_{nn} \end{vmatrix} =0$ (710)

(6)
$ j$ 行を $ \alpha$ 倍して 第 $ i$ 行に加えても行列式は等しい.

$\displaystyle \begin{vmatrix}a_{11}\! & \!a_{12}\! & \!\cdots\! & \!a_{1n} \\ \...
...s\! & & \!\vdots \\ a_{n1}\! & \!a_{n2}\! & \!\cdots\! & \!a_{nn} \end{vmatrix}$ (711)

4.43 (行列式の行に関する性質)   これを示せ.

Kondo Koichi
平成17年9月15日