3.7 多重積分の置換積分
注意 3.40 (定積分の置換積分) 定積分において積分変数を と置き換えると
となる. ただし, , である.
定理 3.41 (多重積分の置換積分) 多重積分
において積分変数を , と置き換える. このとき,
となる.ただし, は ヤコビアン
であり, は の領域
である.
(証明) 座標の点 , は 標準基底 , を用いて,
と表される. 座標に座標変換すると,
とおける. このとき,, は十分小さいとすると, , も十分小さいので, テイラー展開して
と書ける. , であることに注意すると
が成り立つ. ここで,ベクトル
は点 における 座標の基底となる.頂点が , , , からなる長方形の微小領域の面積は である. 一方, 座標において頂点が , , , からなる領域は平行四辺形である. 平行四辺形 の面積は, , より,
となる. 極限 , においてもこれが成り立つので,
を得る.
注意 3.42 (置換積分) 1 変数関数の定積分では に絶対値はつかない. これは積分区間 に向きを考えているためである. 例えば, のとき定積分の値の符合は反転される. 多重積分では, に 絶対値がつく. これは面積要素に向きを考えないためである.
(a) 座標 (b) 座標
Kondo Koichi
平成18年1月18日