4.6 収束する数列のいろいろ

4.20 (有理式で表される数列の極限)   一般項が

$\displaystyle a_{n}$ $\displaystyle =\frac{2n^2+1}{3n^2+5n-1}$ (419)

により与えられる数列を考える. 定理を適用して計算を試みる. 分子分母の極限をとり,

$\displaystyle \lim_{n\to\infty}a_{n}= \lim_{n\to\infty}\frac{2n^2+1}{3n^2+5n-1}...
...^2+1)}} {\displaystyle{\lim_{n\to\infty}(3n^2+5n-1)}}= \frac{\infty}{\infty}\,.$   ←不確定 (420)

を得るがこれは誤りである. そもそも分子分母はそれぞれ発散するので定理は適用不可である. あらためて計算を行なう:

$\displaystyle \lim_{n\to\infty}a_{n}$ $\displaystyle = \lim_{n\to\infty}\frac{2n^2+1}{3n^2+5n-1}= \lim_{n\to\infty}\fr...
...t)}} {\displaystyle{\lim_{n\to\infty}\left(3+\frac{5}{n}-\frac{1}{n^2}\right)}}$ (421)
  $\displaystyle = \frac{\displaystyle{\lim_{n\to\infty}\left(2\right)+ \lim_{n\to...
...\lim_{n\to\infty}\left(\frac{1}{n^2}\right)}}= \frac{2+0}{3+0-0}=\frac{2}{3}\,.$   ←有限確定 (422)

今回は有限確定となり極限が求まる. 計算の途中においては,定理が適用可能であるかの判断は難しい. 最終形まで計算した結果が有限確定または無限確定であれば, 途中の計算も定理が適用可能であることが多い.

次に一般項が

$\displaystyle a_{n}=\frac{n^2+5n+1}{n+2}$ (423)

で与えられる数列を考える.式を変形して極限を考える:

$\displaystyle a_{n}$ $\displaystyle =\frac{n^2+5n+1}{n+2}=\frac{n+5/n+1/n^2}{1+2/n} \to \frac{\infty}{1}=\infty\,.$   ←無限確定 (424)

最後に一般項が

$\displaystyle a_{n}$ $\displaystyle =\frac{n+4}{n^2-3n+1}$ (425)

である数列の極限を考える. 式を変形して極限を考える:

$\displaystyle a_{n}$ $\displaystyle =\frac{n+4}{n^2-3n+1}= \frac{1/n+4/n^2}{1-3/n+1/n^2}\to \frac{0+0}{1-0+0}=\frac{0}{1}=0\,.$   ←有限確定 (426)

以上をまとめると, 有理式で表される数列の極限は, 有理式の最大次数の巾で分子分母を割った後に極限をとればよい.

4.21 (根号を含む数列の極限)   一般項が

$\displaystyle a_{n}$ $\displaystyle =\frac{\sqrt{n}}{n+3}$ (427)

で与えられる数列の極限を考える. 式を次のように変形した後に極限をとる:

$\displaystyle a_{n}$ $\displaystyle =\frac{\sqrt{n}}{n+3}= \frac{\sqrt{n/n^2}}{1+3/n}= \frac{\sqrt{1/n}}{1+3/n} \to \frac{0}{1+0}=\frac{0}{1}=0\,.$ (428)

Kondo Koichi
平成17年8月31日