4.3 $ \epsilon$ 論法

定義 4.9 (数列の極限)   数列 $ \{a_n\}$ と実数 $ \alpha$ が次の条件(i)をみたすとき

$\displaystyle \lim_{n\to\infty}a_n=\alpha$ (393)

と表記する.

(i) 任意の正の数 $ \epsilon$ に対して, $ n\geq N$ のとき $ \vert a_n-\alpha\vert<\epsilon$ をみたす 自然数 $ N$ が存在する.

4.10 (数列の極限の証明の例)   数列 $ \displaystyle{a_n=\frac{1}{n}}$ の極限

$\displaystyle \lim_{n\to\infty}\frac{1}{n}=0$ (394)

の証明をする. 任意の $ \epsilon>0$ に対して自然数 $ N$ $ \displaystyle{N>\frac{1}{\epsilon}}$ となるように選ぶ. このとき $ n\geq N$ ならば

$\displaystyle 0<\frac{1}{n}\leq\frac{1}{N}<\epsilon$ (395)

となるので

$\displaystyle \vert a_{n}-0\vert= \left\vert \frac{1}{n}-0 \right\vert \leq \frac{1}{N} < \epsilon$ (396)

より

$\displaystyle \lim_{n\to\infty}\frac{1}{n}=0$ (397)

を得る.

4.11 (数列の極限)   数列 $ \{a_n\}$

$\displaystyle \lim_{n\to\infty}a_n=\alpha$ (398)

をみたすとき

$\displaystyle \lim_{n\to\infty}\frac{a_1+a_2+\cdots+a_n}{n}=\alpha$ (399)

となることを示せ.

Kondo Koichi
平成17年8月31日