2.23 関数の極限
定義 2.72 (右極限,左極限) 変数 を右から に近づけたときの の値が に近づくとき
(130)
と書き,右極限(right-hand limit)と呼ぶ. 同様に, 変数 を左から に近づけたときの の値が に近づくとき
(131)
と書き,左極限(left-hand limit)と呼ぶ.また略記として
(132)
と書くこともある.
定義 2.73 (関数の極限) 変数 を に近づけるとき, その近づけ方に依らず全て同じ極限となるとき, すなわち
(133)
が成り立つとき, そのときに限り における関数 の極限が存在し,
と書く. 極限が存在するとき次のように表現する:
が に限りなく近づくとき, 関数 には極限が存在し,その極限値は である. (135) (136) (137) は において に収束する(convergent). (138)
収束しないとき発散する(divergent)という.
例 2.74 (関数の極限の具体例) 関数 を考える. このとき
(139)
となる. 右からの極限も左からの極限も存在し同じ値となる. よって
(140)
である.
例 2.75 (関数の極限の具体例) 関数
(141)
を考える. のとき であるから 右極限は
(142)
となる. のとき であるから 左極限は
(143)
となる. 右極限と左極限が一致しないので, 極限 は存在しない.
例 2.76 (関数の極限の具体例) 関数
(144)
を考える. のとき である. であるから は と の間を振動する. よって右極限 は存在しない. のとき である. 以下同様で左極限 は存在しない. 右極限も左極限も存在しないので, 極限 は存在しない.
Kondo Koichi
平成17年8月31日