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定義 1.105 (ベクトル空間の和)
ベクトル空間
,
に対して
を
ベクトル空間の和という.
特に,
のとき
と表記し,
直和という.
注意 1.106 (直和)
ベクトル空間
,
,
が
であるとする.
このとき,
のあるベクトル
に対して,
をみたす
,
はただ一つ定まる.
定理 1.107 (ベクトル空間の和の次元)
ベクトル空間
,
,
が
をみたすとき,
である.
をみたすとき,
である.
定理 1.108 (部分空間の共通部分)
ベクトル
が 1 次独立であるとき,
これらのベクトルで生成される空間
の共通部分は
となる.
(証明)
と の任意のベクトルは
と表される.
ここで,
,
ともに
のベクトルとする.
すなわち,
とする.
このとき,
と 1 次関係を得る.
ベクトル
,
は 1 次独立なので
係数は
と自明なものに限る.
よって共通のベクトルは零ベクトル
に限る.
定理 1.109 (部分空間の共通部分)
ベクトル
が 1 次独立であるとき,
これらのベクトルで生成される空間
の共通部分は
となる.
例 1.110 (ベクトル空間の和の具体例)
の部分空間
,
の和を考える.
(1)
原点を通る直線 と平面 を考える.
直線 が原点以外で平面 と交わらないとき,
であり,
が成り立つ.
直線
が平面
上にあるとき,
であるので,
が成り立つ.
(2)
原点を通る平面 と平面 を考える.
であるとき
と とが交わる点の集合は直線 となる.
である.
このとき,
が成り立つ.
であるときは,
が成り立つ.
例 1.111 (ベクトル空間の和の具体例)
の部分空間
,
,
の和を考える.
(1) 原点を通る直線 , を考える.
であるとき,
であるから,
が成り立つ.
(2) 原点を通る直線 と平面 を考える.
,
であり,
であるから,
が成り立つ.
例 1.112 (ベクトル空間の和の具体例)
ベクトル
を
1 次独立とする.
これらで生成される部分空間
を考える.
これらの和は
と表される.
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Kondo Koichi
Created at 2004/12/13