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13 1 次独立と 1 次従属
定義 1.53 (1 次結合,1 次従属) ベクトル に対して, ベクトル
を の 1 次結合または線形結合(linear combination) という. またこのとき, ベクトル は に 1 次従属または線形従属(linearly dependent) という.
定義 1.54 (1 次関係,1 次独立,1 次従属) ベクトル に対して, 条件式
を の 1 次関係という.1 次関係をみたす係数が ときのみであるとき, は 1 次独立または線形独立(linearly independent) という. が 1 次独立ではないしき, 1 次従属または線形従属という.
注意 1.55 (自明な 1 次関係) 1 次関係
において
とおくと,明らかに 1 次関係は成立する. このとき自明な 1 次関係という. 自明な 1 次関係のときベクトルは 1 次独立である. また, 自明な 1 次関係ではないとき非自明な 1 次関係という. 非自明な 1 次関係のときベクトルは 1 次従属である. 非自明な場合は例えば
等々がある.
例 1.56 (ベクトルの 1 次独立,1 次従属の具体例) ベクトル を考える.(i) , が同じ向きのときを考える. 向きが同じなので と書ける.また,
となので,非自明な 1 次関係である. よって は 1 次従属である.(ii) , の向きが異なるときを考える. このとき 1 次関係
は自明なもののみである. もし非自明であれば同時には , とはならないので, とおく. このとき
と表される. と は同じ向きとなる. これは与えられた条件と矛盾する. よって 1 次関係は自明なものに限る. , は 1 次独立である.(iii) となるときを考える. 条件を書き換えると
となる.非自明な 1 次関係であるから, は 1 次従属である.
例 1.57 (基本ベクトルの 1 次独立性) 基本ベクトル は 1 次独立である. なぜなら, 1 次関係は
となるので,係数は自明
なものに限るからである.
例 1.58 (1 次独立の具体例) のベクトル
は 1 次独立であるか考える. これらの 1 次関係
をみたす , , を定める. 1 次関係を変形して
であり,
となり,
と表される. 行列 を簡約化すると
である.よって
を得る. 係数は自明なもの
に限るので, は 1 次独立である.
例 1.59 (1 次従属の具体例) のベクトル
は 1 次独立であるか考える. 1 次関係より,
となる. 簡約化すると
であるから,
を得る. 1 次関係は
となる.非自明な 1 次関係であるから, は 1 次従属である.
まとめ 1.60 (1 次独立性の判定) ベクトル の 1 次独立性を考える. これらのベクトルを列ベクトルにもつ行列を
とおく.このとき に関する方程式
の解の任意定数の個数は であるから,次の関係が成り立つ:
自明解 のみをもつ は 1 次独立 自明解と非自明解をもつ は 1 次従属
定理 1.61 (1 次独立の性質)
定理 1.62 (1 次独立の性質)
定理 1.63 (1 次独立の性質)
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Created at 2004/12/13