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定義 3.8 (連立一次方程式の基本変形)
連立一次方程式に対する次のの操作を
連立一次方程式の基本変形と呼ぶ.
- (1)
- 一つの式を
倍する.
- (2)
- 二つの式を入れ替える.
- (3)
- 一つの式を 倍して別の行に加える.
連立一次方程式に基本変形をして得られた方程式と
元の方程式とは等価な方程式である.
すなわち両者は同じ解をもつ.
連立一次方程式とその行列表現は,方程式としては等価なものである.
連立一次方程式の基本変形は,
行列表現では次の行列の行の基本変形となる.
定義 3.9 (行列の行の基本変形)
行列に対する次の操作を
行列の行の基本変形
(matrix elementary row transformation)と呼ぶ.
- (1)
- 一つの行を
倍する.
- (2)
- 二つの行を入れ替える.
- (3)
- 一つの行を 倍して別の行に加える.
定理 3.10 (掃き出し法)
拡大係数行列
に基本変形を繰り返し行ない,
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(344) |
の形に変形ができたとする.
このとき解は
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(345) |
と得られる.
この解法を
掃き出し法(sweeping-out method)または
ガウスの消去法(Gaussian elimination)と呼ぶ.
例 3.11 (掃き出し法による計算例)
連立一次方程式
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|
(346) |
を考える.
基本変形を繰り返し行なう.
連立方程式とその拡大係数行列
|
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(347) |
に基本変形をほどこす.
第二式を
倍し第一式に加えると
|
|
(348) |
を得る.
第一式と第二式を入れ換えて
|
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(349) |
となる.第二式を
倍し第一式に加えると
|
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(350) |
となる.第二式を
倍すると
|
|
(351) |
を得る.結局拡大係数行列は
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(352) |
と変形された.
以上より,解は
と求まる.
例 3.12 (掃き出し法による計算例)
連立一次方程式
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(353) |
を考える.
拡大係数行列に基本変形を繰り返し行なう.
連立一次方程式とその拡大係数行列
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(354) |
に基本変形をほどこす.
第三行を
倍して第一式に足すと
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(355) |
となる.
第三行を第一式に足すと
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(356) |
となる.
第一式と第三行を入れ替えると
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(357) |
となる.
第三式を
倍して第一行に加えると
|
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(358) |
となる.
第三式を
倍して第二行に加えると
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|
(359) |
となる.
第二式と第三式を入れ替えると
|
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(360) |
となる.
第三式を
倍すると
|
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(361) |
となる.
第三式を
倍して第一式に足すと
|
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(362) |
となる.
第三式を
倍して第二式に足すと
|
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(363) |
となる.
よって
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(364) |
を得る.
以上より,解は
と求まる.
例 3.13 (掃き出し法による計算例)
連立一次方程式
|
(365) |
を考える.
拡大係数行列に基本変形を繰り返し行ない,
|
(366) |
を得る.
以上より,解は
と求まる.
問 3.14
教科書(p.22)問題2.1.
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Kondo Koichi
Created at 2004/11/26