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24 点と平面との距離

定義 1.111 (点と平面との距離)   $ \mathbb{R}^{n}$ 空間内の点 $ A$ と平面を考える. 点 $ A$ と平面上の点 $ B$ との距離が最小となるとき, その距離を点と平面との距離という.

定理 1.112 (点と平面との距離)   $ \mathbb{R}^{n}$ 空間内の点 $ A$ と平面を考える. 点 $ A$ と平面上の点 $ B$ との距離が最小となるのは 直線 $ AB$ と平面が直交するときである.

例 1.113 (点と平面との距離)   点 $ A(1,-2,4)$ の平面 $ 2x+3y-z+1=0$ への 射影点は $ B(2,-1/2,7/2)$ である. 直線 $ AB$ は平面に直交する. 距離 $ \overline{AB}$ が点と平面との距離である. よって距離は

$\displaystyle \sqrt{ \left(2-1\right)^2+ \left(-\frac{1}{2}+2\right)^2+ \left(\frac{7}{2}-4\right)^2}= \sqrt{\frac{7}{2}}$ (191)

である.

定理 1.114 (点と平面との距離)   $ \mathbb{R}^{n}$ 空間内の点 $ A(\vec{x}_{0})$ と 平面 $ \vec{n}\cdot(\vec{x}-\vec{q})=0$ を考える. 点 $ A$ と平面との距離は

$\displaystyle \frac{\left\vert\vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}-\vec{q})\right\vert} {\Vert\vec{n}\Vert}$ (192)

である.

問 1.115 (点と平面との距離)   これを示せ.

(証明) 点 $ A(\vec{x}_{0})$ から平面 $ \vec{n}\cdot(\vec{x}-\vec{q})=0$ への 射影点を $ B(\vec{x}_{1})$ とする. 距離 $ \overline{AB}=\Vert\vec{x}_{1}-\vec{x}_{0}\Vert$ が 点と平面の距離である. 射影点 $ B(\vec{x}_{1})$

$\displaystyle \vec{x}_{1}= \vec{x}_{0}- \frac{\vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}-\vec{q})}{\vec{n}\cdot\vec{n}} \vec{n}$ (193)

であるから,

$\displaystyle (\vec{x}_{1}-\vec{x}_{0})\cdot(\vec{x}_{1}-\vec{x}_{0})= \left( \...
...}= \left( \frac{\vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}-\vec{q})}{\Vert\vec{n}\Vert} \right)^2$ (194)

より,

$\displaystyle \Vert\vec{x}_{1}-\vec{x}_{0}\Vert= \frac{\vert\vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}-\vec{q})\vert}{\Vert\vec{n}\Vert}$ (195)

を得る.

定理 1.116 ( $ \mathbb{R}^3$ の点と平面との距離)   $ \mathbb{R}^{3}$ 空間内の点 $ A(x_{0},y_{0},z_{0})$ と 平面 $ ax+by+cz+d=0$ を考える. 点 $ A$ と平面との距離は

$\displaystyle \frac{\left\vert ax_{0}+by_{0}+cz_{0}+d\right\vert} {\sqrt{a^2+b^2+c^2}}$ (196)

である.

問 1.117 ( $ \mathbb{R}^3$ の点と平面との距離)   これを示せ.

(証明) 点 $ A(\vec{x}_{0})$ と平面 $ \vec{n}\cdot(\vec{x}-\vec{q})=0$ とし,

$\displaystyle \vec{x}_{0}= \begin{bmatrix}x_{0} \\ y_{0} \\ z_{0} \end{bmatrix}...
...d \vec{x}_{0}-\vec{q}= \begin{bmatrix}x_{0} \\ y_{0} \\ z_{0}+c/d \end{bmatrix}$ (197)

とおく.

$\displaystyle \vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}-\vec{q})= ax_{0}+by_{0}+cz_{0}+d\,,\quad \Vert\vec{n}\Vert= \sqrt{a^2+b^2+c^2}$ (198)

より,

$\displaystyle \frac{\vert\vec{n}\cdot(\vec{x}_{0}-\vec{q})\vert}{\Vert\vec{n}\Vert}= \frac{\vert ax_{0}+by_{0}+cz_{0}+d\vert}{\sqrt{a^2+b^2+c^2}}$ (199)

を得る.

例 1.118 ( $ \mathbb{R}^3$ の点と平面との距離)   点 $ A(1,-2,4)$ の平面 $ 2x+3y-z+1=0$ との距離は

$\displaystyle \frac{\vert 2\cdot1+3\cdot(-2)-4+1\vert}{\sqrt{2^2+3^2+(-1)^2}}= \sqrt{\frac{7}{2}}$ (200)

である.


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Kondo Koichi
Created at 2004/11/26