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1 不定積分

関数 $ f(x)$ に関して $ x$ で``微分をする''という操作を $ \displaystyle{\frac{d}{dx}}$ という 演算子,作用素(operator)で表すとする. すなわち関数 $ f(x)$ に微分演算 $ \displaystyle{\frac{d}{dx}}$ を作用させるとは

$\displaystyle \frac{d}{dx}f(x)=f'(x)$ (783)

のことである. この微分演算の逆演算を考える. これを $ \displaystyle{\left(\frac{d}{dx}\right)^{-1}}$ と表記し

$\displaystyle \left(\frac{d}{dx}\right)^{-1}f(x)=F(x)$ (784)

と表すことにする. 逆演算により得られる関数 $ F(x)$ は 方程式

$\displaystyle \frac{d}{dx}F(x)=f(x)$ (785)

を満たす関数と定義する. 定義からただちに分かるように, ある関数 $ F(x)$ が 方程式([*])を満たすとき, $ C$ を任意定数として関数 $ F(x)+C$ もまた 方程式([*])を満たす. よって必ず

$\displaystyle \left(\frac{d}{dx}\right)^{-1}f(x)=F(x)+C$ (786)

が成り立つ. 微分の逆演算 $ \displaystyle{\left(\frac{d}{dx}\right)^{-1}}$ は 通常 $ \displaystyle{\int\,dx}$ という記号を用いる. これで書き直すと

$\displaystyle \int f(x)\,dx=F(x)+C$ (787)

と表せる.

定義 6.1 (不定積分)   関数 $ f(x)$ に対して, 微分演算 $ \displaystyle{\frac{d}{dx}}$ の 逆演算を $ \displaystyle{\int dx}$ と表記し,

$\displaystyle \int f(x)\,dx=F(x)+C \quad\overset{\text{def}}{\Leftrightarrow}\quad \frac{d}{dx}F(x)=f(x)$ (788)

と定義する.ただし $ C$ は任意定数である. $ \displaystyle{\int f(x)\,dx}$不定積分(indefinite integral)$ f(x)$被積分関数(integrand)$ C$積分定数(constant of integration)$ F(x)$原始関数(primitive function)と呼ぶ.



Kondo Koichi
Created at 2004/08/14