next up previous contents
Next: 16 連続関数 Up: 2 関数 Previous: 14 関数の極限   Contents

15 連続と不連続

定義 2.60 (関数の連続性)   次の条件を満たすとき,関数 $ f(x)$ は点 $ x=a$ において 連続(continuous)であるという.
(i)
$ f(a)$ が定義されている.
(ii)
$ \displaystyle{\lim_{x\to a}f(x)}$ が存在する.
すなわち $ \displaystyle{\lim_{x\to a+0}f(x)}$ $ \displaystyle{\lim_{x\to a-0}f(x)}$ が存在し,それらの値が等しい.
(iii)
$ \displaystyle{\lim_{x\to a}f(x)}=f(a)$ が成立する.
すなわち $ f(a)=\displaystyle{\lim_{x\to a+0}f(x)=\lim_{x\to a-0}f(x)}$ が 成立する.
連続ではない場合は不連続(discontinuous)であるいう.

例 2.61 (連続な点の具体例)   $ f(x)=x^2$$ x=2$ において連続である. なぜなら

$\displaystyle f(2)=\displaystyle{\lim_{x\to2+0}f(x)=\lim_{x\to2-0}f(x)}=4$ (302)

が成り立つからである.

例 2.62 (不連続な点の具体例)   $ f(x)=\displaystyle{\frac{1}{x-2}}\ (x\neq 2)$$ x=2$ において不連続である. なぜなら $ f(2)$ は定義されていない. さらには $ \displaystyle{\lim_{x\to2+0}f(x)\neq \lim_{x\to2-0}f(x)}$ となるからである.

例 2.63 (不連続点の除去の具体例)   $ f(x)=\displaystyle{\frac{\sin x}{x}}\ (x\neq 0)$$ x=0$ において 不連続である.なぜなら $ f(0)$ が定義されていないからである. しかし $ f(x)$

$\displaystyle f(x)=\left\{ \begin{array}{cc} \displaystyle{\frac{\sin x}{x}} & (x\neq 0)\\ [1em] 1 & (x=0) \end{array} \right.$ (303)

と定義すると $ f(x)$$ x=0$ において連続となる. なぜなら $ f(0)=\displaystyle{\lim_{x\to+0}f(x)=\lim_{x\to-0}f(x)=1}$ が 成立するからである. 再定義することにより不連続な点 $ x=0$ は取り除かれた.

例 2.64 (不連続点を除去できない具体例)   $ \displaystyle{f(x)=\frac{1}{x-1}\ (x\neq a)}$ は点 $ x=a$ において不連続である. 点 $ x=a$ における値を $ f(a)=b$ と定義することにする. うまく $ b$ を定めることにより不連続点は取り除くことができるであろうか. $ \displaystyle{\lim_{x\to a+0}f(x)=+\infty}$, $ \displaystyle{\lim_{x\to a-0}f(x)=-\infty}$ であるので, 点 $ x=a$ の左右で極限がことなる.よってどのように $ f(a)=b$ を定めても 不連続な点を取り除くことはできない.

例 2.65 (不連続点の除去の具体例)   $ \displaystyle{f(x)=\frac{x-1}{x-1}\ (x\neq1)}$ を考える. $ f(x)$ は点 $ x=1$ において不連続である. しかし $ f(x)$ は分子分母が等しいので, $ x\neq1$ となる点において $ f(x)=1$ である.よって $ \displaystyle{\lim_{x\to1\pm0}f(x)=1}$ となる. ゆえに点 $ x=1$ の値を $ f(1)=1$ と定義すれば不連続点は取り除かれる. 結局,点 $ x=1$ はみかけ上の不連続点であり本質的な不連続点ではない.

問 2.66   参考書(p.36)問題 2-5.

問 2.67 (不連続点の除去の例)   次の関数を $ x=0$ で連続となるように $ f(0)$ の値を定義せよ.

$\displaystyle (1)\quad$ $\displaystyle f(x)=\frac{\tan x}{x}\quad(x\neq0)$ (304)
$\displaystyle (2)\quad$ $\displaystyle f(x)=x\,\sin\frac{1}{x}\quad(x\neq0)$ (305)
$\displaystyle (3)\quad$ $\displaystyle f(x)=\frac{x^3-1}{x}+\frac{x+1}{x}\quad(x\neq0)$ (306)


next up previous contents
Next: 16 連続関数 Up: 2 関数 Previous: 14 関数の極限   Contents

Kondo Koichi
Created at 2003/08/29