1.5 $ \mathbb{R}^3$ の直交する直線

1.18 (直交する直線)   $ \mathbb{R}^3$ の直線 $ \displaystyle{\ell:\frac{x-1}{2}=\frac{y-3}{-1}=\frac{z-2}{3}}$ と直交し点 $ A(1,2,3)$ を通る直線の方程式を求める. 求めたい直線を $ m$ とする. $ m$ の方向ベクトルを $ \displaystyle{\vec{q}=
\begin{bmatrix}
\alpha & \beta & \gamma
\end{bmatrix}^{T}
}$ とする. これは直線 $ \ell$ の方向ベクトル $ \displaystyle{\vec{p}=
\begin{bmatrix}
2 & -1 & 3
\end{bmatrix}^{T}
}$ と直交するので, $ \vec{p}\cdot \vec{q}=0$ より,

$\displaystyle ($$\displaystyle )\qquad 2\alpha-\beta+3\gamma=0$    

が成り立つ. $ m$ は点 $ A(1,2,3)$ を通り方向ベクトル $ \vec{q}$ であるから, $ m$ をパラメータ表示すると

$\displaystyle ($$\displaystyle )\qquad x=\alpha s+1, \quad y=\beta s+2, \quad z=\gamma s+3$    

となる. $ \ell$ をパラメータ表示すると

$\displaystyle ($$\displaystyle )\qquad x=2t+1, \quad y=-t+3, \quad z=3t+2$    

となる. $ m$$ \ell$ の交点 $ C$ を求める. (○),(●)より, 連立方程式

$\displaystyle \begin{bmatrix}2 & -\alpha \\ -1 & -\beta \\ 3 & -\gamma \end{bma...
...\begin{bmatrix}t \\ s \end{bmatrix} = \begin{bmatrix}0 \\ -1 \\ 1 \end{bmatrix}$    

を得る. 拡大係数行列を簡約化すると,

$\displaystyle \begin{bmatrix}2 & \alpha & 0\\ 1 & \beta & 1\\ 3 & \gamma & 1 \e...
...(\alpha+2\beta) \\ 0 & 0 & 2(\alpha-\beta-\gamma)/(\alpha+2\beta) \end{bmatrix}$    

となる. 連立方程式が一意な解をもつためには, 第 2 式の第 $ (3,3)$ 成分が 0 であれば良いので,

$\displaystyle ($$\displaystyle )\qquad \alpha-\beta-\gamma=0$    

を得る. (☆),(★) より, $ \alpha$, $ \beta$, $ \gamma$ の連立方程式をつくり それを簡約化すると,

$\displaystyle \alpha=-4\gamma, \qquad \beta=-5\gamma$    

を得る.$ \gamma$ は任意であるから適当に $ \gamma=1$ とすると, $ \alpha=-4$, $ \beta=-5$ である. よって, $ \displaystyle{t=\frac{2}{7}}$, $ \displaystyle{s=\frac{1}{7}}$ である. 交点 $ C$ の座標は $ \displaystyle{\left(\frac{11}{7},\frac{19}{7},\frac{20}{7}\right)}$ と求まる. また, $ m$ の方向ベクトルは $ \displaystyle{\vec{q}=
\begin{bmatrix}
-4 & -5 & 1
\end{bmatrix}^{T}
}$ と求まる. よって, $ \displaystyle{m:\frac{x-1}{-4}=\frac{y-2}{-5}=\frac{z-3}{1}}$ と得られる.

1.19 (直交する直線)   $ \mathbb{R}^3$ の直線 $ \displaystyle{\ell:\frac{x-1}{2}=\frac{y-3}{-1}=\frac{z-2}{3}}$ と直交し点 $ A(1,2,3)$ を通る直線の方程式を求める. 求めたい直線を $ m$ とする. 点 $ A$ から直線 $ \ell$ への正射影を $ C$ とする. $ \ell$ 上の適当な点 $ B(1,3,2)$ をとると, $ C$

$\displaystyle \overrightarrow{OC}= \overrightarrow{OB}+ \overrightarrow{BC}= \o...
...ec{p}\Vert^2} \vec{p} = \frac{1}{7} \begin{pmatrix}11 \\ 19 \\ 20 \end{pmatrix}$    

により求まる. $ m$ は直線 $ AC$ より求まる.

1.20 (直交する直線)   $ \mathbb{R}^3$ の直線 $ \displaystyle{\ell:\frac{x-1}{2}=\frac{y-3}{-1}=\frac{z-2}{3}}$ と直交し点 $ A(1,2,3)$ を通る直線の方程式を求める. 求めたい直線を $ m$ とする. 点 $ A$ から直線 $ \ell$ への正射影を $ C$ とする. 直線 $ \ell$ 上の動点 $ P$ の座標は

$\displaystyle x=2t+1, \quad y=-t+3, \quad z=3t+2$    

である.線分 $ AP$ の長さが最短になるとき, $ P=C$ である.

  $\displaystyle \Vert\overrightarrow{AP}\Vert^2= (2t+1-1)^2 + (-t+3-2)^2 + (3t+2-3)^2 = 4t^2+(t-1)^2+(3t-1)^2$    
  $\displaystyle = 14t^2-8t+2= 14\left( t-\frac{2}{7} \right)^2+\frac{6}{7}$    

より, $ \displaystyle{t=\frac{2}{7}}$ のとき最小になる. $ m$ は直線 $ AC$ より求まる.

1.21 (直交する直線)   $ \mathbb{R}^3$ の直線 $ \displaystyle{\ell:\frac{x-1}{2}=\frac{y-3}{-1}=\frac{z-2}{3}}$ と直交し点 $ A(1,2,3)$ を通る直線の方程式を求める. 求めたい直線を $ m$ とする. 点 $ A$ から直線 $ \ell$ への正射影を $ C$ とする. 直線 $ \ell$ と直交し点 $ A$ を通る平面 $ \alpha$ を考える. $ \alpha$$ \ell$ の交点が $ C$ となる. $ \alpha$ の法線ベクトルは $ \ell$ の方向ベクトルであり, $ \alpha$ は点 $ A$ を通るので, $ \alpha$ の方程式は

$\displaystyle ($$\displaystyle )\qquad 2(x-1)-(y-2)+3(z-3)=0$    

である. 直線 $ \ell$ のパラメータ表示は

$\displaystyle ($$\displaystyle )\qquad x=2t+1, \quad y=-t+3, \quad z=3t+2$    

である. $ \alpha$$ \ell$ の交点を求める. (●)を(○)へ代入すると $ \displaystyle{t=\frac{2}{7}}$ を得る. $ m$ は直線 $ AC$ より求まる.


平成21年1月14日