2.46 2 変数関数の極大値と極小値の判定
定理 2.217 (極値) 関数 において点 が , をみたすとき, が極値となるための判定条件は次の通りである. ただし,
とおく.
- (i).
- , のとき, は点 で極小値をとる.
- (ii).
- , のとき, は点 で極大値をとる.
- (iii).
- のとき, は点 で極値をとらない.
- (iv).
- のとき,個別に判定する.
(証明) 点 から点 への増分を とする. をテイラー展開し, , であることを 用いると,
と表される. ただし,簡単のために
とおいた. を の 2 次多項式
であるとみると,この判別式は
である.よって,
は極小値 は極大値
が成り立つ. が正のとき に応じて は正と負と両方の値をとりうる. よって, は極値とはならない. また, の 2 次多項式と考えたときも同様の結果を得る.
例 2.218 (極値の計算例) 関数 の極値を求める. 連立方程式
を解くと極値の候補として を得る.このとき,
となる. よって, は極小値である.
例 2.219 (極値の計算例) 関数 の極値を求める. 連立方程式
を解くと極値の候補として を得る.このとき,
となる. であるから判別式 を用いて極値となるかは判定できない. そこで,点 と その近傍の点 , を考える. ただし, とする. このとき,
が成り立つ. 点 から 軸正の方向には増加傾向であり, 軸負の方向には減少傾向となるので, は極値ではない.
例 2.220 (極値の計算例) 関数 の極値を求める. 連立方程式
を解くと極値の候補として を得る.このとき,
となる. よって, は極小値である.
例 2.221 (極値の計算例) 関数 の極値を求める. 連立方程式
を解く. 第 1 式を と変形して第 2 式に代入すると
となる.これを解くと,極値の候補として
を得る.このとき,
を用いて極値であるか判定する. まず, の場合. より は極値ではない. 次に, の場合. , より, は極大値である.
平成21年1月14日