1 変数関数 のテイラー展開は,点 のまわりで について
展開すると
である. とおいて,点 のまわりで についての
展開に書き直すと
となる.
2 変数関数 のテイラー展開では,
点 のまわりで点
についての
展開を考える.
まず,関数
を導入する.これを のまわりでテイラー展開すると
となる.微係数を求める. の導関数は
であるから,
を得る.これを用いると,
を得る.
定理 2.148 (テイラー展開)
関数
が
回微分可能なとき,
点
のまわりで点
についての
テイラー展開(Taylor expansion)は,
である与えられる.ただし,
は
剰余項(remainder)であり,
と与えられる.ただし,
である.
注意 2.149 (テイラー展開)
テイラー展開をベクトル表記すると
と書ける.ただし,
であり,
は
の
ヘッセ行列(Hesse matrix)という.
例 2.150 (テイラー展開)
関数
を点
のまわりで点
について
次まで展開し,
次以降を剰余項で表すと
となる.
例 2.151 (テイラー展開)
関数
を点
のまわりで
点
についてテイラー展開する.
まず,偏導関数は
である.
階以降の偏導関数はすべて
0 となる.
また,点
における偏微係数は
である.これを用いるとテイラー展開は
より,
となる.
多項式のテイラー展開は,多項式を単に変形した形となる.
例 2.152 (テイラー展開)
関数
を点
まわりで
点
についてテイラー展開する.
まず,偏導関数は
である.
となるから,
次項までのテイラー展開は
となる.
同様にして,
となるから,
次項までのテイラー展開は
となる.
例 2.153 (テイラー展開)
関数
を点
のまわりで
点
についてテイラー展開する.
まず,
より,
となるので,テイラー展開は
である.展開を途中で打ち切ると
の
次の近似式
が
と得られる.
例 2.154 (テイラー展開)
関数
の
マクローリン展開を求める.
まず,
より,
となるので,マクローリン展開は
と得られる.
平成21年1月14日