3.1 微分係数
定義 3.1 (微分と微分係数) 関数 が において連続で,極限
が存在するとき, は において微分可能(differentiable) であるという. このとき有限確定した極限を と表記し, における の 微分係数(differential coefficient)と呼ぶ.
定義 3.2 (右微分係数,左微分係数) 右極限による関数 の微分係数を
と書き,右微分係数(right differential coefficient)と呼ぶ. 左極限による関数 の微分係数を
と書き,左微分係数(left differential coefficient)と呼ぶ.
注意 3.3 (微分係数の存在) が存在するとは,すなわち , が存在し, かつ が成り立つことを意味する.
例 3.4 (微分係数の具体例) の における微分係数を求める.まず
とおく. を計算すると
を得る.よって
により微分係数 が求まる.
例 3.5 (微分不可能な点の具体例) 関数 は において連続であるが,微分可能ではない. 以下これを示す.まず
とおく. , のとき
である. , のとき
となる.これより
を得る.右微分係数と左微分係数は存在するがその値は異なる. よって における微分係数 は存在しない. は において微分不可能である.
例 3.6 (微分不可能な点の具体例) 関数 は において連続であるが,微分可能ではない. なぜなら,
より
となり , を得る. で微分不可能である. また
となり , を得る. で微分不可能である.
平成21年6月1日