有理関数
の不定積分
を考える.
任意の有理関数は積分可能である.
Step 1 (分子を分母で割る)
分子の次数
が分母の次数
以上のときは
まず割り算を行い,
とする.
このとき多項式の部分は必ず積分が可能である.
よって以後では分子の次数
は分母の次数
より小さい(
)とする.
Step 2 (分母を因数分解する)
有理式を
とする.
分母の多項式
を実数の範囲で因数分解する.
このとき
と表される.
は重複度である.
2次式の判別式は負である.
Step 3 (部分分数分解する)
有理式
を
部分分数分解する.
すなわち
と変形する.
問 6.31 (部分分数分解)
任意の有理式
は
上式のように部分分数分解される.これを示せ.
Step 4 (部分分数ごとに積分する)
部分分数ごとに積分を行う.
すなわち
を計算する.
それぞれの場合ごとに積分を考える.
分母の因子が
次式の場合
の積分を行なう.
のとき
Type 1: |
|
となる.
のときは
Type 2: |
|
となる.
分母の因子が
次式の場合の積分を行なう.
次式の判別式が負であることに注意すると
と表される.
ここで
,
,
とおき,
とおいた.
積分
は
となり,
(
) は
と求まる.
第二項目の積分
を計算する.
のとき
となる.
のときは漸化式
より
が定まる.
これを示す.
とおいて置換積分を用いると
となる.
分子を変形すると
第 1 項は
であり,第 2 項を部分積分すると
となる.残った積分も
である.
式変形してまとめると
となり漸化式を得る.
問 6.35 (部分分数展開の計算例)
部分分数分解として
とする.
係数
,
,
,
を定めよ.
問 6.36 (部分分数展開の計算例)
部分分数分解として
とする.
係数
,
,
,
,
,
,
,
を定めよ.
例 6.37 (部分分数の積分の計算例)
Type 1:
Type 2:
Type 3:
Type 4:
Type 5:
Type 6:
これはあとの例題で示す.
例 6.39 (有理式関数の不定積分の具体例)
(Type 1 のみ)
不定積分
を計算する.
まず,部分分数分解する.
とおくと,
であり,これを解くと
となる.よって
を得る.
これを積分して
を得る.
例 6.40 (有理式関数の不定積分の具体例)
(Type 1, 3, 5)
不定積分
を計算する.まず,
部分分数分解として
とする.
通分して同じ次数でまとめると
となる.よって係数は
を満足しなければならない.
これを解くと
となる.
よって部分分数分解は
と表される.
よって,
を得る.
例 6.41 (有理式関数の不定積分の具体例)
(Type 1, 3, 5)
不定積分
を計算する.
まず
とおくと
より
が定まる.よって
となる.これより
を得る.
例 6.42 (有理式関数の不定積分の具体例)
(Step1, Type 3, 5)
不定積分
を計算する.
分子の次数が分母の次数以上であるから,
分子を分母で割り
のように変形する.
多項式部分は積分される.
残るは有理式の積分である.
これを計算すると
となる.
よって
を得る.
例 6.43 (有理式関数の不定積分の具体例)
(Type 6)
,
の場合の
を求める.
平成19年10月3日