3.2 ベクトルの 1 次結合と連立 1 次方程式

定義 3.4 (ベクトルの 1 次結合)   $ m$ 個のベクトル $ \vec{a}_{1},\vec{a}_{2},\cdots,\vec{a}_{m}$ が 与えられたとき,ベクトル

$\displaystyle c_{1}\vec{a}_{1}+c_{2}\vec{a}_{2}+\cdots+c_{m}\vec{a}_{m}$ (388)

$ \vec{a}_{1},\vec{a}_{2},\cdots,\vec{a}_{m}$1 次結合(linear combination)と呼ぶ.

3.5 (ベクトルの 1 次結合の具体例)   2次の列ベクトル $ \begin{bmatrix}2 \\ 3 \end{bmatrix}$ $ \begin{bmatrix}1 \\ 0 \end{bmatrix}$ $ \begin{bmatrix}0 \\ 1 \end{bmatrix}$ の 1 次結合で表すと

$\displaystyle \begin{bmatrix}2 \\ 3 \end{bmatrix}= 2 \begin{bmatrix}1 \\ 0 \end{bmatrix}+ 3 \begin{bmatrix}0 \\ 1 \end{bmatrix}$ (389)

となる.

連立 1 次方程式 $ A\vec{x}=\vec{b}$ の 係数行列 $ A$ を 列ベクトルで分割し $ A=[\vec{a}_{1},\cdots,\vec{a}_{n}]$ と書き直すと, 方程式は

$\displaystyle A\vec{x}= \begin{bmatrix}\vec{a}_{1} & \cdots & \vec{a}_{m} \end{...
...\\ x_{n} \end{bmatrix}= x_{1}\vec{a}_{1} + \cdots + c_{m} \vec{a}_{m} = \vec{b}$ (390)

となる. すなわち $ \vec{b}=x_{1}\vec{a}_{1} + \cdots + c_{m} \vec{a}_{m}$ となる. これはベクトル $ \vec{b}$ $ \vec{a}_{1},\cdots,\vec{a}_{n}$ の 1 次結合で 表したものに他ならない. 連立 1 次方程式は 1 次結合の係数 $ x_{1},x_{2},\cdots,x_{n}$ を 求める問題と等価である.

3.6 (ベクトルの 1 次結合と連立 1 次方程式の関係の具体例)   $ \begin{bmatrix}2 \\ 3 \end{bmatrix}$ $ \begin{bmatrix}3 \\ 5 \end{bmatrix}$ $ \begin{bmatrix}1 \\ 3 \end{bmatrix}$ の 1 次結合で表す. すなわち

$\displaystyle \begin{bmatrix}2 \\ 3 \end{bmatrix}= x_{1} \begin{bmatrix}3 \\ 5 \end{bmatrix}+ x_{2} \begin{bmatrix}1 \\ 3 \end{bmatrix}$ (391)

を満たす係数 $ x_{1}$, $ x_{2}$ を求める. これを書き直すと

$\displaystyle \begin{bmatrix}3 & 1 \\ 5 & 3 \end{bmatrix} \begin{bmatrix}x_{1} \\ x_{2} \end{bmatrix}= \begin{bmatrix}2 \\ 3 \end{bmatrix}$ (392)

となる. 結局,連立 1 次方程式を求める問題に帰着する. これを解くと $ x_{1}=3/4$, $ x_{2}=-1/4$ となる. よって

$\displaystyle \begin{bmatrix}2 \\ 3 \end{bmatrix}= \frac{3}{4} \begin{bmatrix}3 \\ 5 \end{bmatrix}- \frac{1}{4} \begin{bmatrix}1 \\ 3 \end{bmatrix}$ (393)

を得る.

3.7   教科書(p.18) 問題1.4 3.-6.

Kondo Koichi
平成17年9月15日