4.16 交項級数

定義 4.61 (交項級数)   級数

$$S =\sum_{n=1}^{\infty}(-1)^{n-1}b_{n} \quad(b_{n}\geq0)$$ (530)

を交項級数（alternative term series）と呼ぶ．

定理 4.62 (交項級数の収束定理)   交項級数 $${\sum_{n=1}^{\infty}(-1)^{n-1}b_{n}}$$ は 次の条件を満たすとき収束する：

(i)

$b_{n}\geq b_{n+1}$.

(ii)

$${\lim_{n\to\infty}b_{n}=0}$$.

（証明）$n$ が偶数のときの有限部分和は

$$S_{2n}= (b_1-b_2)+(b_3-b_4)+\cdots+(b_{2n-1}-b_{2n})= \sum_{k=1}^{n}\left(b_{2k-1}-b_{2k}\right),$$ (531)

$$S_{2n+2}-S_{2n}=b_{2n}-b_{2n+2}\geq 0$$ (532)

と書ける． $S_{2n+2}\geq S_{2n}$ となるので， 数列 $S_{2},S_{4},\cdots,S_{2n},\cdots$ は正項級数でかつ単調増加となる． さらには $S_{2n}$ は

$$S_{2n}=b_{1}-\sum_{k=1}^{n-1}\left(b_{2k}-b_{2k+1}\right)-b_{2n}$$ (533)

とも書ける． $b_{2k}-b_{2k+1}\geq0$, $b_{2k}\geq0$ であるから， $S_{2n}\leq b_{1}$ となる．よって $S_{n}$ は

$$0\leq S_{2n}\leq b_{1}$$ (534)

をみたす．$S_{2n}$ は有界な単調増加数列である． よって $S_{2n}$ は極限 $${S=\lim_{n\to\infty}S_{2n}}$$ が存在する． 次に $n$ が奇数にる場合を考える． $S_{2n+1}$ の極限は

$$\lim_{n\to\infty}S_{2n+1} = \lim_{n\to\infty}(S_{2n}+b_{2n+1})=S+0=S$$ (535)

と得られる．以上で証明終了．

例 4.63 (交項級数の収束定理の具体例)   級数 $${S=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^{n-1}}{2^{n}}}$$ は 収束する． なぜなら $b_{n}=1/2^{n}>b_{n+1}=1/2^{n+1}$ であり， $${\lim_{n\to\infty}b_{n}=0}$$ であるから， 定理より級数は収束する．

例 4.64 (交項級数の収束定理の具体例)   級数 $${S=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^{n-1}}{n}}$$ は 収束する． なぜなら $b_{n}=1/n>b_{n+1}=1/(n+1)$ であり， $${\lim_{n\to\infty}b_{n}=0}$$ であるから， 定理より級数は収束する．

Kondo Koichi
平成17年8月31日