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6 内分点

定理 1.24 (内分点)   点 $ A(\vec{a})$, $ B(\vec{b})\in\mathbb{R}^{n}$ に対して 点 $ P(\vec{p})$

$\displaystyle AP:PB=t:1-t$ (24)

を満すとき,

$\displaystyle \vec{p}=\vec{p}(t)= \vec{a}+t(\vec{b}-\vec{a})= (1-t)\vec{a}+t\vec{b}\,, \qquad t\in\mathbb{R}$ (25)

が成り立つ. $ 0<t<1$ のとき点 $ P$ は点 $ A$, $ B$内分点(internally dividing point)を表し, $ t<0$, $ 1<t$ のとき 外分点(externally dividing point)を表す.

注意 1.25 (内分点とパラメータ)   端点は $ \vec{p}(0)=\vec{a}$, $ \vec{p}(1)=\vec{b}$ であり, $ A$, $ B$ の中点は $ \vec{p}(1/2)=(\vec{a}+\vec{b})/2$ である.

例 1.26 (内分点の具体例)   点 $ A(1,1)$, $ B(2,-1)\in\mathbb{R}^{2}$ を考える. このとき $ AP:PB=t:1-t$ とする内分点 $ P(\vec{p})$

$\displaystyle \vec{p}=(1-t)\vec{a}+t\vec{b}= (1-t) \begin{bmatrix}1 \\ 1 \end{b...
...x}= \begin{bmatrix}1 \\ 1 \end{bmatrix}+ t \begin{bmatrix}1 \\ -2 \end{bmatrix}$ (26)

と与えられる. 点 $ P$ の座標を $ (x,y)$ とする.このとき

$\displaystyle \vec{p}= \begin{bmatrix}x \\ y \end{bmatrix}= \begin{bmatrix}1+t \\ 1-2t \end{bmatrix}$ (27)

より

$\displaystyle \frac{x-1}{1}= \frac{y-1}{-2}=t$ (28)

が成り立つ. $ t$ を消去すると

$\displaystyle 2x+y-3=0$ (29)

となる. この式は点 $ A$, $ B$ を通る $ \mathbb{R}^2$ 内の直線の方程式を表す. 内分点 $ P$ は直線上の点である.

問 1.27 (2 次元空間内の内分点)   点 $ A(a_{1},a_{2})$, $ B(b_{1},b_{2})$ $ AP:PB=t:1-t$ と 内分する点 $ P(x,y)$ を求めよ. また,点 $ A$, $ B$ を通る直線の方程式を求めよ.

例 1.28 (内分点の具体例)   点 $ A(1,1,1)$, $ B(2,-1,1)\in\mathbb{R}^{3}$ を考える. このとき $ AP:PB=t:1-t$ と内分する点 $ P(\vec{p})$

$\displaystyle \vec{p}= (1-t)\vec{a}+t\vec{b}= (1-t) \begin{bmatrix}1 \\ 1 \\ 1 ...
...{bmatrix}1 \\ 1 \\ 1 \end{bmatrix}+ t \begin{bmatrix}1 \\ -2 \\ 0 \end{bmatrix}$ (30)

と与えられる. $ P(x,y,z)$ とすると $ \vec{p}={[x\,\,y\,\,z]}^{T}$ より

$\displaystyle \frac{x-1}{1}= \frac{y-1}{-2}=t\,,\quad z=1$ (31)

が成り立つ. この式は点 $ A$, $ B$ を通る $ \mathbb{R}^3$ 内の直線の方程式を表す.

定理 1.29 (3 次元空間内の内分点と直線の方程式)   点 $ A(a_{1},a_{2},a_{3})$, $ B(b_{1},b_{2},b_{3})\in\mathbb{R}^3$ を 考える. $ AP:PB=t:1-t$ と内分する点を $ P(\vec{p})=P(x,y,z)$ とする. このとき

$\displaystyle \vec{p}(t)=(1-t)\vec{a}+t\vec{b}=a+t(\vec{b}-\vec{a})$ (32)

であり,

$\displaystyle \begin{bmatrix}x \\ y \\ z \end{bmatrix}= \begin{bmatrix}a_{1} \\...
...trix}+ t \begin{bmatrix}b_{1}-a_{1} \\ b_{2}-a_{2} \\ b_{3}-a_{3} \end{bmatrix}$ (33)

が成り立つ. 点 $ A$, $ B$ を通る $ \mathbb{R}^3$ 内の 直線の方程式は

$\displaystyle \frac{x-a_{1}}{b_{1}-a_{1}}= \frac{y-a_{2}}{b_{2}-a_{2}}= \frac{z-a_{3}}{b_{3}-a_{3}}=t$ (34)

で与えられる.

注意 1.30 (内分点,外分点が成す集合は $ 1$ 次元)   パラメータ $ t$ が一つ定まれば $ \mathbb{R}^{n}$ 内の点が $ \vec{p}(t)=(1-t)\vec{a}+t\vec{b}$ により 一つ定まる. $ t$ $ \mathbb{R}^{1}$ 内の全ての点を動く. よって $ \mathbb{R}^{1}$ 内の全ての点と直線 $ \vec{p}(t)$ 上の全ての点は 一対一対応する. $ \mathbb{R}^{1}$$ 1$ 次元の空間であるので 直線 $ \vec{p}(t)$ が成す集合もまた $ 1$ 次元である.


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Kondo Koichi
Created at 2004/11/26